注目のジャクソンホール会合のパウエルFRB議長の講演は、無難に終了ということになった。8月初めに一部のFRB理事を含め地区連銀の総裁を中心に寄ってたかって、早期テーパリングから利上げへの道筋づくりを語ったことで、市場はすっかりその気になっていたところが、おっとり刀で駆け付けた議長は、もとより自分もこの調子なら年内に開始しようと思っていたのよね、と話しながら、その実はハト派的な内容の語りとなった。
すでに報道に詳しいので重複は避けるが、直近の世論調査や米国議会でインフレへの懸念が高まっているとかで、インフレの高進を抑える観点の話をするという指摘も多かったが、インフレは「さらなる著しい進展」を満たしているとした。その一方で、インフレは一時的というこれまでの見方は変えなかった。そして、やはり雇用についてスピーチ時間も多く割き、「最大化に向けて明確に前進した」としつつも、5%台の失業率を挙げ、「まだまだ高すぎる」と労働市場重視を打ち出した。この点で、今週末9月3日発表の8月の雇用統計は言うまでもなく、さらに注目度は上がった。
市場に安心感をもたらしたのは、「今後の資産購入の縮小の時期とペースは、利上げの時期に関する直接的なシグナルを伝えることを意図したものではない」とした件(くだり)だろう。買取り終了から自動的に利上げへの移行はないとした。もっとも、前回2014年10月のテーパリング終了から最初の利上げまで14カ月空けて2015年12月に実行と言うことだったので、これ自体は意外性はない。しかし、8月初めにクラリダ副議長が想定より早めにテーパリングに着手し、利上げ環境を整えたい意向を示していたが、パウエル議長は拙速な利上げは有害と釘を差した。
市場ではハト派的な内容と受け止められ、株は上がり、ドルは下げ、金利も低下、NY金は前日比24.30ドル高の1819.50ドルで終了。終値ベースで8月2日以来の高水準となり、7月の雇用統計発表前の水準に戻ることになった。週間ベースでも35.50ドル(1.99%)高で3週続伸。
CFTC(商品先物取引員会)が27日取引終了後に発表したデータでは、NY金先物取引のファンドの持分が、8月24日までの1週間で増加していた。新規資金の流入を意味する。前週に続き売り建て(ショート)の買戻し(ショートカバー)による決済が進む一方で、新規の買い建て(フレッシュロング)が増加していることが判明。ショートカバーとフレッシュロングの増加分で、ネットロングは重量換算オプション取引除いて58トン増加となった。
ちょうど価格は100日移動平均線と200日線が交差する1810~12ドルを越えてきており、次に1835ドルを上回ってくると力強さが出る可能性がある。材料になりそうな8月雇用統計が控えるだけに、様子見となるか否か。1日のISM製造業は悪化すると見ているのだが、どうなるか。
本日は夕刻にPodcastの収録をしており(エピソード#27)、22時頃までにはアップデイトされる予定につき、登録されている方は確認してみてください。
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すでに報道に詳しいので重複は避けるが、直近の世論調査や米国議会でインフレへの懸念が高まっているとかで、インフレの高進を抑える観点の話をするという指摘も多かったが、インフレは「さらなる著しい進展」を満たしているとした。その一方で、インフレは一時的というこれまでの見方は変えなかった。そして、やはり雇用についてスピーチ時間も多く割き、「最大化に向けて明確に前進した」としつつも、5%台の失業率を挙げ、「まだまだ高すぎる」と労働市場重視を打ち出した。この点で、今週末9月3日発表の8月の雇用統計は言うまでもなく、さらに注目度は上がった。
市場に安心感をもたらしたのは、「今後の資産購入の縮小の時期とペースは、利上げの時期に関する直接的なシグナルを伝えることを意図したものではない」とした件(くだり)だろう。買取り終了から自動的に利上げへの移行はないとした。もっとも、前回2014年10月のテーパリング終了から最初の利上げまで14カ月空けて2015年12月に実行と言うことだったので、これ自体は意外性はない。しかし、8月初めにクラリダ副議長が想定より早めにテーパリングに着手し、利上げ環境を整えたい意向を示していたが、パウエル議長は拙速な利上げは有害と釘を差した。
市場ではハト派的な内容と受け止められ、株は上がり、ドルは下げ、金利も低下、NY金は前日比24.30ドル高の1819.50ドルで終了。終値ベースで8月2日以来の高水準となり、7月の雇用統計発表前の水準に戻ることになった。週間ベースでも35.50ドル(1.99%)高で3週続伸。
CFTC(商品先物取引員会)が27日取引終了後に発表したデータでは、NY金先物取引のファンドの持分が、8月24日までの1週間で増加していた。新規資金の流入を意味する。前週に続き売り建て(ショート)の買戻し(ショートカバー)による決済が進む一方で、新規の買い建て(フレッシュロング)が増加していることが判明。ショートカバーとフレッシュロングの増加分で、ネットロングは重量換算オプション取引除いて58トン増加となった。
ちょうど価格は100日移動平均線と200日線が交差する1810~12ドルを越えてきており、次に1835ドルを上回ってくると力強さが出る可能性がある。材料になりそうな8月雇用統計が控えるだけに、様子見となるか否か。1日のISM製造業は悪化すると見ているのだが、どうなるか。
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