本日は注目の8月の米消費者物価指数(CPI)の発表がある。
ほんの1週間前まで今回のFOMCでの利上げ幅を占う判断材料との位置づけだったが、先週までのパウエル議長はじめFRB高官の発言から、0.75%の利上げが織り込まれたことで材料性は後退した。一方で、品目別の物価上昇の分析から、この先の利上げペースを占うヒントとの位置づけになっている。
市場予想はガソリン安などから前年同月比8.0%上昇と7月の8.5%上昇から鈍化する見通しの一方で、エネルギーと食品を除くコア指数はむしろ前月比上昇し、高止まりを示す可能性がある。コア指数の市場予想は7月の5.9%上昇を上回る6.1%となっている。賃金や家賃など基調的なインフレを示す数値が予想以上に上昇した場合、株式市場などには波乱材料となりそうだ。
エネルギー価格の上昇などが収まれば沈静化するインフレでなく、基調的なインフレの定着という粘着性の強いインフレの継続を予見させれば、初動でのFRBの対応ミスを際立たせることになり、引き締め加速に傾くとの見方が増すことになる。
一方、12日はFRBにとって、求めている結果のデータ発表があった。 NY連銀が12日発表した8月消費者調査によると、消費者の1年先と3年先のインフレ期待が共に低下していた。1年先インフレ期待(中央値)は5.75%と、前月の6.2%から低下し、2021年10月以来の低水準となった。3年先のインフレ期待も2.8%と、前月の3.2%から低下。2020年後半以来、ほぼ2年ぶりの低水準に。5年先は2%と7月の2.35%から低下。FRBの物価目標水準に一致した。
6月のFOMCの直前にミシガン大学の期待インフレ率のうち5年超が前月比で上昇となり、あわてて利上げ幅を0.5%から0.75%に引き上げ、物議を醸した経緯がある。 公式発言を自粛するブラックアウト期間だったことから、直前の利上げ幅引き上げについて、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)のFedウォッチャー(FRB担当)記者にリークしたとみられる記事が流れたのだった。この時は市場に見事に織り込まれ波乱なく利上げ幅拡大を乗り切ったのだった。
その同じ記者が先週、今回の利上げ幅が0.75%と書いたことを先週ここで取り上げた。 いずれにしても、今夜のCPIはサービス部門の上昇がどの程度になるかが、市場を左右する。おもしろい(興味深い)。