亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

1900ドル手前で残高急増の金ETF

2021年05月25日 21時36分05秒 | 金市場

本日は夕刻16時30分からラジオNIKKEI「マーケット・トレンドPLUS」にスタジオライブ出演だった。この番組の看板キャスター大橋ひろこさんとの掛け合いで、本日は大阪取引所の告知広告があったので13分ほどの話に。こう書いてみると、同じラジオNIKKEIの午前や午後の市況番組マーケット・プレスは、ほぼ電話出演だが、長い時は17~8分しゃべっているので、そちらの方が時間があるのだなぁ、といま思った次第。本日のラジオでの話は、足元で1900ドル台手前で、落ちそうで落ちない金価格を取り巻く背景チェックだった。

実は昨夕、自前のYouTubeとポッドキャストの収録を行っており、ポッドキャストは本日午後一に、YouTubeは本日の夕刻6時半頃に公開となった。今回、取り上げたのが「ビットコインとゴールド」というタイトルで、暗号資産ビットコインについてだった。もともとラジオNIKKEIと同じように足元の金市場をメインにしようと思っていたが、先週から週明けに至る間の乱高下から、急遽、ビットコインを押し立てた。収録開始1時間半前に素材を作り、ほぼ出たとこ勝負のような収録となった。本日のラジオNIKKEIの内容は、さすがに同じようなものにはしたくなかったので、ビットコインの扱いは少なめにした。しかし、関心は高いと思われたので、流れで少し触れることになった。

さて、金市場の話をすると、今月に入りNYコメックスの金先物のロング(買い建て)が増加したり、金ETF(上場投信)が2月以降4月まで続いていた減少から増加に転じたり、資金流入が目立っている。この点で注目していたのが、先週19日のFOMC議事要旨の発表だった。ゼロ金利は続ける、当面インフレは上振れるが一過性、労働市場の改善には時間がかかるなどなど、これまでのスタンスの繰り返しは織り込み済みで、ポイントは市場が気を揉んでいるテーパリングへの言及の有無だった。すなわち利上げ前に踏む手順としての量的緩和策(QE)の段階的縮小について、(この時点での表明は論外として)どのように方向性をほのめかすのか、いなかという点にあった。

 

結果は、昨年3月以降の超ド級の緩和策の出口について初めて、公式に表明されることになった。しかし、その表現内容はまさにvague.!!笑ってしまうくらい漠然としていた。いわく、「数名の参加者が、経済の急回復が続くなら、今後の会合のどこかで購入ペースを調整する計画を議論することが適切との認識を示した」。出口に向けた話し合いが始まる可能性を示唆ということになる。FRBが如何に自らの(引き締めへの)政策変更の表明に気を使っているかということだが、市場とくに金市場には2013年ににわかに浮上した緩和策収束見通しに際し、ファンドの投げ売りにより暴落商状に陥った苦い経験があり、“テーパリング” がトラウマになっている事情がある。

しかし、今回の意向表明はいわゆる「スルー」されることになった。反応はごく一時的だった。発表直後から下げ始めたNY金だったが、下げ幅も10数ドル程度のものに収まった。もっとも、19日午後2時の発表だったが、午前早くからビットコインはじめクリプトの暴落騒動で市場の関心がそっちに行っていたということがあったのかもしれないが、それ以上に、今回のテーパリングは以前と同じものにならないという見通しがあるのだろう。

そもそも、当時とは経済環境が大きく異なり、現時点では未だ判断がつかないということもありそうだ。議事要旨が発表された翌日20日から週明け24日までの3営業日で金ETF(上場投信)の最大銘柄「SPDR(スパイーダ―)ゴールド・シェア」の残高は、約15トン増加している。初からは29トン増となる。テーパリングについて初めて表明し、しかも1900ドル目前の水準で、急に目立つ金市場への資金流入。

過去何度もここで、多くの疑いの中で上げる金として、「懐疑の中で育つ相場」を指摘してきたが、近いところでは5月10日にも同様のことを書いた。そして、金に強気する人が増えている。

 

さて、以下は本日更新したYouTubeです。クリックあるいはQRコードで。15分程度で完結します。

 

 

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