亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

イベント続きの中で上向きバイアス(FEDハト派と景況感が押し上げた金価格)

2011年08月31日 16時04分31秒 | 金市場

おおむね1750~1850ドルのレンジで日柄整理に入ったと見られる金相場だが、先週の急落局面の下値を支えたのはアジアを中心にした実需買いとFRBによる先行きの追加緩和策への期待と波乱の持続が予想されるユーロ圏金融状勢だった。週末も触れたがジャクソンホールのバーナンキ講演は微妙なサジ加減で市場に過度の期待も失望も与えず、まさに玉虫色の内容だった。午後2時に8月9日のFOMCの議事録要旨の発表が予定されていた30日、午前の早い段階で米CNBCが流したエバンス米シカゴ連銀総裁へのインタビューは、ハト派で知られる同総裁ではあるものの、追加緩和への意向表明としては予想以上といえた。しかも同総裁は、今年のFOMCで投票権を持った地区連銀総裁でもある。

 

8月のFOMCについては、同総裁としては「一段の緩和に踏み込みたかった」とした。さらに先行きの超低金利を変更する条件として「特定の失業率とインフレ率を設定することが望ましい」とした。これは結構大胆な発言といえよう。というのも、そもそも金融政策で雇用環境をコントロールし難い環境が生まれている中でのことゆえ、達成にはかなり踏み込んだ政策が必要になる可能性があるからだ。1993年グリーンスパン時代以来となる3名の反対者が出たことが話題になったFOMCだが、それは2013年半ばまで異例の低金利を続けるという期間を明記した点にあった。それだけに、ここまで緩和策に踏み込んだ提案があったことにも意外性があったといえる。

 

この内容が伝えられた金市場は、にわかに沸き立つことになった。NYコメックスの通常取引(フロア取引)終了後に、FOMC議事録要旨が発表されたが、エバンズ発言と整合性のあるものだった。9月の開催日を1日増やしたことは、8月9日のFOMCにて決めていたことも明らかになった。

 

もともと心理系の指数は昨月から月初の政治のゴタゴタもあり落ちているとは見られていたが、ここまで発表分は軒並み悪い。この分では全国レベルのISM製造業景況指数も・・・・・・ということで、金は堅調という流れ。日柄整理といえどイベント続きの中で、上向きバイアスが掛っている。

金価格の動きはNY入り前の時間外から始まっていたが、通常取引に入りコンファレンス・ボード(民間調査機関)の発表した米消費者信頼感指数がこれまた予想を大きく上回る落ち込みとなっていたことが判明。これも金価格を押し上げた。1800ドルをスルスル突破するも、やはり戻り売りも多いのは先週の乱高下の余韻といえる。件の指数だが、前月59.2に対し予想値は52.0、結果は何と44.5。今後6カ月の期待指数に至っては、前月の74.9に対し51.99。09年4月以来の低水準だが、この時期はNYダウが7000ドル割れからようやく反発というタイミングで、景気後退期にあった。

 


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1 コメント

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週刊朝日の金の記事 (fadeout)
2011-08-31 23:50:59
今週号(8/29発売)に載ってます。
おなじみの先生方のお話で構成されています。

ただ、週刊朝日にまでこんな記事が出る御時勢ともなると、少し怖くない
こともないですね。

かと言ってトンデモ系の先生方はお笑いでしかないし。
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