亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

9月米雇用統計の評価、ブレイナード発言に注目 

2021年10月13日 17時10分01秒 | 金市場

金価格のこう着状態が続いている。12日もアジア時間からロンドン、そしてNYの時間を通して前日の終値(1755.70ドル)を挟んだ値動きで、1750.50~1770.00ドルのレンジをおおむねマイナス圏で推移し、3.60ドル高の1759.30ドルで終了した。

ここにきて天然ガスや原油などエネルギー価格高騰によるインフレ懸念の高まりが金市場に微妙な影を落としている。もともと新型コロナ禍からの経済回復による急激な需要回復に対してサプライチェーン問題(供給障害)が続き、価格押し上げ要因となる基調的なインフレが認められてきた。そこにエネルギー価格の上昇が乗る形になっている。

インフレ加速観測は、FRBをして金融政策の引き締め方向へ転換を早めさせるとの見方(金の売り要因)がある。一方で、そもそもインフレの高まりは金価格のサポート要因との根源的な解釈が交錯する。それが価格のこう着状態として現れている。

次回11月2-3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)にてテーパリング(資産買取りの縮小)を決定し12月には着手という流れが、市場に織り込まれた状態にあった。そこに先週末に発表された雇用統計にて就業者増加数の予想値50万人増に対し19万4000人増と大幅下振れしたことが判明。過去2か月分が上方修正されたことから、累積効果を評価する形で、テーパリング決定に向けて「十分に改善している」との受け止め方が市場を支配する状況にあるし、数名のFRB関係者もこうした受け止め方をしているとみられる。

ちょうど今週は多くのFRB理事および地区連銀総裁が、連日にわたり講演やパネル討論登壇など発言が予定されている。

12日はアトランタ連銀のボスティック総裁は、インフレ圧力がこれまでの想定以上に高まっていることを認めた上で、「支援策の解消に着手する時期が来た」と発言。テーパリング着手に前向きな発言をした。同じ日、クラリダFRB副議長はテーパリングを開始するための雇用目標をほぼ達成したとし、「(テーパリングが)間もなく正当化されるかもしれない」とした。またセントルイス連銀のブラード総裁は、テーパリングを来月に開始し、来年春までに完了させる案を支持するとした。ここまでの資産価格の膨張に加え、ここにきてのインフレ圧力の高まりが、やはり警戒感を抱かせるのだろう。

本日13日はブレイナードFRB理事、ボウマンFRB理事の講演が予定されている。中でもハト派で知られるブレイナード理事は、7月末段階で「9月のデータが手に入れば進展の程度をもっと自信をもって評価できる」と語っていただけに、果たして先週末の結果を受けてどんな発言をするか興味深い。次期FRB議長との見方もある有力理事でもあり市場の注目度合いも高いだろう。

なお、本日は9月に開催されたFOMCの議事要旨が公開される(日本時間14日午前3時)。参加者予測(ドットチャート)にて利上げ時期の(22年末への)前倒し見通しが明らかになったが、その背景にある論点が明らかになる。2人の理事の講演は発表後の夕刻(日本時間の明日早朝)に予定されており、議事要旨の内容も踏まえた上での発言になると思われる。

他には9月の消費者物価指数(CPI)も注目事項となっている。市場予想は総合指数は前値比5.3%の伸び、コア指数で4.1%の伸びとなっている。強めの結果が出るのは織り込み済みになっている。

新型コロナによるスタジオ収録中断を経てYouTube版 ゴールド・ボイス 今週再開しました。

以下のサムネイルをクリックしてもらえればサイトに飛びます。

 

 

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 難しい舵取りを強いられてい... | トップ | NY金、意外高で1800ドル... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (fairlane)
2021-10-15 00:05:22
ゴールド・ボイス拝見しました 時計いいですね でもウチが逃げ切り濃厚ですね 神宮での胴上げのために残り甲子園二試合は力を抜くかもしれませぬ。。。
連邦債務問題は政治ゲームにしてしまうと、いつか米国債の信用の問題になるでしょうが、それがまだまだ先だということを今の金価格は示しているようですね 
食用油の値上げが酷いですね 食用油小売価格は2年前の1.6倍くらいです スタグフレーションという言葉が浮かんできています
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事