今週に入り発表されている米労働市場の指標が、需給の逼迫感が薄れてきたことを示していることから、6月6日のNY金は続伸。前日比15.40ドル高の2390.90ドルと2400ドルに接近して終えた。ただし、やや値動きの荒い展開だった。
NY時間外のアジア午前の取引の薄い時間帯に上値追いとなりで2390ドルを上回る状況が見られた。さすがに売り買い交錯状態となったものの日本時間の昼過ぎまでは2390ドル近辺で滞留した。その後、にわかに売り先行の流れに転じNYの早朝には前日終値(2375.50ドル)に接近するところまで低下。つまりアジア時間の上げ幅をすべて失うことになった。 NY時間には一時マイナス圏に入ったものの、売りが一巡すると上値追いに転じアジア時間に付けていた高値を抜け一時2397.00ドルと2400ドルに接近するところまで買われ、通常取引は2390.90ドルで終了。
その後の時間外取引は横ばいで2395.10ドルと最高値圏の水準に復帰して終了ということに。
5月20日に付けた取引時間中の最高値(2454.20ドル)から5月30日の取引時間中の安値(2320.80ドル)まで130ドルの振幅を見ての2400ドル水準まで戻したことになる。
6日アジア時間の急伸は、上海先物取引所との関連を思わせるものと言える。
将来的には、ゴールドの国際標準価格決定の主導権を握ることを中国政府(中国人民銀行)は目指しているとみられるが、影響力は徐々に増しているとみられる。
本日は5月の米雇用統計の発表を控える。
言うまでもなく利下げを巡る連邦準備理事会( FRB)のスタンスを探る手掛かりとして注目されているが、今週発表の一連の労働指標が弱かったことから、予想比下振れとの見方もある一方で、強い結果を読む向きもおり分かれている。
このことに関連し米労働省労働統計局(BLS)が5日発表したデータでは、昨年の雇用者数の伸びは、発表に際して用いられた基準値より毎月平均で約6万人少なかった可能性があるとされた。いずれ月間雇用統計の年次改定に使用されるデータだが、労働市場はFRBが考えているよりも弱いとの指摘も浮上している。
なお、日本時間の本日夕刻5時を過ぎたあたりに金市場はまとまった売りが出たのか、急落状態に転じている。
ちょうどロンドンは午前9時すぎで取引が本格化する時間帯でのこと。NY時間は午前4時過ぎの未明ということになる。売り手掛かりは現時点で不明だが、ここまでのところ6日のアジア時間の急落よりも大きな下げとなっている。雇用統計の結果を見るまで方向定まらず。一方、値動きの荒さ(ボラティリティの大きさ)は、中央銀行やアジア一般の草の根的な買いによる需給の薄さを表している可能性がある。