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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金は戻り高値更新、200日線トライ 

2021年05月17日 19時55分18秒 | 金市場
先週末14日のここにNY金が2週連続の週足上昇となれば、強気筋が増えて動きも変わって来るのではとしたが、結局前週末の1831.30ドルを上回り、連続陽線出現となった。通常取引の引け(=清算値)は14.10ドル高の1838.10ドルだった。その後の時間外で週末の取引は1843.80ドルで終了していた。本日週明けのアジア、日本時間の午前10時台には1850ドル台に乗せ、午後3時前には1855ドル前後での推移となり国内価格の上昇にもつながった。いよいよ終値ベースでの200日移動平均線超にトライということに。

5月7日に発表された4月の米雇用統計をはじめ12日発表の4月の消費者物価指数(CPI)、13日の生産者物価指数(PPI)とイレギュラーな結果が並んだ米経済指標。特に新型コロナウイルス・パンデミック(世界的感染拡大)の中で経済活動を意図的に止めた前年比で見て、過去最大の伸び率となったCPIやPPIの結果は、インフレ見通しを巡り米10年債利回りやドル相場に影響を与えた。このところ金価格への影響が大きい10年債利回りは、上昇となったものの1.70%止まりで3月の水準を超えることなく、その後1.6%台で滞留。昨年来の水準からは高止まりと表現できる1.6%台を維持したにもかかわらず、先週末のNY金は先に触れたように続伸で週足が陽線に。

10年債利回りに代表される「名目金利」の上昇に注目が集まるが、期待インフレ率上昇の中で何度も書くように「実質金利」は低下傾向にあり、NY金の押し上げ要因になっている。



ここまで一連の米経済指標の上振れ下振れが激しい結果を受け、14日に注目されたのが4月の小売売上高だった。米経済の7割を占める個人消費に直結するデータだけに、結果如何では市場でのインフレ懸念(そこから連想される量的緩和の縮小観測)が高まる可能性があり、12日のCPIに次ぐ注目イベントになっていた。

前回の更新が結果発表の直後だったので、既に触れたが市場予想は前月比で1%増に対し横ばいとなった。つまり、予想を下回ったわけだが、水準自体は高い。具体的には6199憶ドル(約68兆円)と、過去最高だった3月の6197億ドルをわずかに上回った程度だった。もともとバーが高いこともあり、さらなる拡大とはならなかったことで、10年債利回りは発表後に低下した。低下といっても1.626%で1.6%台は維持した状況にある。

給付金効果で米国の貯蓄率は過去最高水準にあることから、ワクチン普及による経済活動の本格稼働により、小売売上高も今後過去最高を更新する可能性はある。問題はこうした政策効果が消える夏以降ということになる。このところのインフレ率の上振れは、言うまでもなく経済活動を人為的に止めていた昨年比での振れ幅が大きいことによるが、確かに政策効果の剥落後にも高水準を維持できるかというと疑問で、FRBが繰り返し指摘するようにインフレも一時的ということだろう。米国景気の加速は、足元の4~6月期がピークとの見方は多く、結果が判明するのは8月末の(例の)ジャクソン・ホール会合の時期にあたる。

読まれた人も居ると思うが、昨日付の「日経ヴェリタス」の価格展望にて、この夏に向けてNY金の価格見通しは1900ドル方向とした。

今週、米連邦準備理事会(FRB)は、19日に4月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表する。インフレ上昇は一過性との見解をFRBは示しているが、市場では懐疑的な捉え方も多く、議事要旨にてFOMCメンバー間での意見の相違の有無を探ることになる。今週も連日FRB関係者の発言が続く。本日はクラリダ副議長とアトランタ連銀ボスティック総裁。データでは5月のNY連銀製造業景況指数がある。


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