亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

財務省、FRBの門前に列をなす・・・

2008年11月11日 22時19分50秒 | 金融市場の話題
保険会社であるAIGに対する400億ドルの公的資金の注入(政府による優先株の取得)。11月10日に四半期決算の発表を予定していたAIGだが、支援枠の拡大や政府による優先株の取得の見通しについては、「事情通の話」として米ウォール・ストリート・ジャーナルは先行して報じていた。発表された7-9月期決算は、244億6800万ドル(約2兆3700億円)の赤字。その結果、自己資本に食い込む(棄損)ことになった。資本増強の必要が生じたが、このご時世増資に応ずる人はあろうはずはなく、政府に頼むしかなくということ。

メディアでは預金を持つ金融機関以外にも金融安定化法案に基づく資金注入の範囲が広がったという部分に重点を置いて報じられた。

このニュースを見てナルホドと思いが至ったのが、損失額の大きさに関連し先月発表された米銀大手ワコビアの決算だった。239億ドル(約2兆3400億円)の赤字で、ここまでの信用危機の中で米金融機関が四半期ベースで計上した赤字額としてはこの段階で最大のものと報じられた。ワコビアは経営危機でシティ・グループに救済合併が一時は決まったものの、その後、好条件の提示があったとして10月上旬にウェルズ・ファーゴに救済合併が決まるという経緯を経て話題となった。そして10月22日に発表されたのが、この決算内容だった。

指摘されたのは、救済合併が決まったことで、より現実的な決算内容になったということだった。つまり、他行の決算は実情を表していないのではないかということだった。比較対照となったのは、ワコビアの3倍近い規模のシティの同時期の決算が28億ドル(2700億円)の赤字というものだった。
つまり今回のAIGの決算もかなり実情に沿った線ではじき出すとこれだけの巨額の損失となり、政府による資本注入がないと立ち行かない状況となったということだろう。他行あるいは他社の傷み具合も推して知るべし・・・・か。

カード会社のアメリカン・エクスプレスまでもが銀行持ち株会社に業態変更を申請しFRBはスピード認可したと伝えられている。これで金融安定化法の支援対象となるのだと。290億ドルの赤字決算を発表したファニーメイは、予想を超えたスピードでの資金流失にやはり財務省に対し早期の資本注入を要請中と伝えられている。
財務省、FRBの前に列をなしているような状況になってきた。そのうちGMが自動車ローンを基盤とする金融子会社GMACをテコに銀行持ち株会社になったりして・・・・・・まぁ、これは冗談だけど。事はそうした様相を呈してきたというわけ。昨日、やや楽観的なトーンで書いたが、やはり根は深い。

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金キャリートレード (SHOHAMA)
2008-11-11 22:49:14
「連銀(中央銀行)が低金利(リースレート)で米銀、ファンドなどに金塊を貸し出すことで、当業者のヘッジ以外の売り圧力が強まることとなり金相場が下落、金を売って高利回りで運用する“金キャリートレード”を行うことで利回りが発生、サブプライムローンに端を発した金融危機に見舞われる米銀に利益確保の機会を与え、さらにドル下落を防衛するというFRBの政策に合致することになり、金相場のここ最近の下落は、たしかに米政府の価格操作ではないかとの憶測は成り立つ」
という記事を見つけたのですが、本当なのでしょうか?憶測だといいのですが・・・
もし本当だとしたら、米も必死でドルの暴落を阻止しようとしているんですね。
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最後には買い方の勝利、らしいです (お星様)
2008-11-12 11:27:47
ヘッジファンドだろうが銀行だろうが、売れば必ず買わなくてはいけません。そういう大手の業者ではない一般人が、「紙幣は信用ならん」ということで金などの現物購入が増加するということがおこりつつあるらしいです。そして、そういう一般人が大変増えてきているので、売り方の損がふくらみ買い方の勝利に終わる…らしいです。

前日のコメント、亀井先生お気持ちを悪くなさらないで下さいね。ほとんど大勢の人は先生のブログに勉強させていただき、感謝しております。unknownさんのコメントの真意はわかりませんが、日本語の書き方の勉強をなさったほうが良いことは確かなように思います。
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FFレート目標と実際の乖離 (いつも拝見しております)
2008-11-12 12:12:42
お疲れさまです。

債権関係者の間で、あのアメリカの中央銀行が定める誘導目標が実質的に機能していないことが囁かれているようです。それでも供給を止められない状況は仕方ないとしても個人的には何となく危険な雰囲気を感じます。実体経済は後退局面でも金融市場は信用経済の胴元によるジャブジャブ供給によってあふれたマネーがインターバンクになだれ込み日銀の誘導目標0.3%どころかゼロ近傍となっている現状は下より上の可能性もなどと妄想してしまうほど異常事態だと感じます。ただ、これだけやっても下向いたら大惨事ですけど・・・
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何でもアリの様相ですね。 (ぱろ)
2008-11-12 14:37:27
GMが自動車ローンを基盤とする金融子会社GMACをテコに銀行持ち株会社になったりして・・・・・・確かに無いとは思う話しではありますが、もう何でもアリといった具合が米国流ですね!
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ちょっと深刻ですね (いつも拝見しております)
2008-11-12 18:08:27
お疲れさまです。

変動利付債や物価連動国債などのマイナー銘柄ならわかりますが、ここまで来ると心配でなりません。大惨事前という冗談も冗談に思えなくなってきました。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=asLMa7XEnyzI
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