さて注目のFOMCだが、大方の予想通り政策変更は見られず月間850億ドル(約8兆5000億円の資産買い取りは継続されることになった。声明文の内容も前回と大きな変更がみられなかったが、それでも市場は細かな表現の変化や文言の追加や脱落などを見つけ、その背景を読み反応する。
全般的には現況の判断について前回9月の会合後、やや弱い内容の経済指標が続いたものの、「幅広い経済の底堅さも強まってきている」という表現がそのまま使われるなど、財政協議の混乱などもあり経済指標の発表の遅れなどから新たな情報が限定的な現時点で、FOMC自体も様子見に傾いているとの解釈も成り立つのではないか。
メディアで指摘されているように、住宅市場に関連して「最近数ヵ月でやや減速した」と警戒的な表現となる一方で、前回金利上昇に関連して指摘したリスクについては削除された。これから発表される、財政をめぐるごたごたなども含んだ期間のデータを精査して判断ということを考えると、今回は一応パスしておいて、12月に改めて判断というスタンスか。
そう考えると、今回のFOMCは材料性という点で市場にとってどう反応していいものやらという中途半端な結果に終わったように思われる。金市場にしてもADPの民間雇用で上に反応したものの政策変更(買付け縮小)に関して、引き続きスタンバイというスタンスを示されたことから声明文発表後は売り先行の流れに転じることになった。
明日から10日ほどの間に地区連銀総裁や理事などFRB高官の講演会などが目白押し状態のようなので、今回の議事録要旨が出る前に、その発言内容に揺れ動く状況が続きそうだ。1350ドルを超えてチャート的にも少し明るさが出かかった金だが、フォローになる環境も期待できたが再び個別反応に戻った感じだ。
それにしても金融がダメージを受けた景気悪化の性質(タチ)の悪さは日本が経験済みだが、アメリカも物価の上がりにくい状況が続いている。昨日発表された9月の消費者物価指数(CPI)は8月のプラス1.5%からプラス1.2%に落ちていた。今年の春先にバーナンキ議長が、年後半の秋にでも物価にも力強さが出るという見通しを語っていたと思うが、そうはなっていない。この環境下で金は上がりにくいということもいえるが、一方で“ばら撒き” も止められぬという解釈もできる。