週明けの市場はNYの早朝の時間帯にあたるが、欧州市場で前週末に下げが目立っていたドイツ銀行株が上昇するなど、信用不安の拡大懸念の後退が確認され金市場は売りが先行する流れが続いた。
安心感をもたらしたのは、26日米連邦預金保険公社(FDIC)が、経営破綻した米中堅銀行シリコンバレー銀行(SVB)について、米地方銀行ファースト・シチズンズ銀行が一括買収で合意したと発表したこと。前日25日には、ブルームバーグ通信が「米当局は銀行向け緊急融資ファシリティーなど一段の銀行支援を検討している」と報じていたことも、市場センチメントの好転につながった。
これを受けて銀行システムの健全性を巡る過度の懸念が後退し、前週までの安全資産への資金の流れが一部で巻き戻されることになった。株式や原油が買い戻される半面、安全資産とされる金は米国債とともに売られた。金は一時1945.00ドルまで付けて終盤に1950ドルを上回り、時間外取引は1957.70ドルで終了した。
米連邦準備理事会(FRB)の金融規制担当のバー副議長がこの日、「必要があれば金融機関の規模にかかわらずすべての手段を使う用意がある」と述べたことも、市場の不安解消につながった。銀行不安の議会公聴会でのバー副議長は、SVBの破綻はずさんな財務管理によるものと一蹴した形になった。FRBは規制を強化する方針で5月1日をメドに細目を発表するとしている。
今回の件で銀行による与信管理が厳しくなり融資の減少などが予想され、いわゆる信用収縮が景気に悪影響を及ぼす可能性は高いだろう。米国債利回りの長短金利差の逆転も依然、景気後退入りを示唆しており、(一般的な2年債でなく)3カ月物と10年債利回りの逆転現象(逆イールド)に至っては、27日時点でマイナス1.161%(116.1bp、ベーシスポイント)と1973年以来で最大の水準で推移している。
今回の銀行不安の影響が、今後どのような形で現れるかという点で、市場は警戒しながらのリスクオンという状況にある。
商業用不動産など、不動産関連の融資などカネ巡りにほころびがでると、金融混乱につながりそうだ。