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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

新「金融対応策」は動き始めたが・・いろいろ気に掛かる動きやデータがあった1週間

2009年02月28日 12時39分16秒 | 金融市場の話題
今週は米国で金融対応策が矢継ぎ早に出された週だった。マーケットの反応が早いので、それだけ米国政府が危機感を持って事に当たっている証でもある。昨夜は、シティ・グループへの米国政府の方針が発表された。政府財務省はこれまで取得したシティの優先株を普通株に転換することで筆頭株主になることになった。その結果シティは高利の配当を減らせるが、政府の意向を聞かねばならなくなった。もともと昨年11月にシティは潰さないとしていたが、今回の決定で一般株主は株式価値の希薄化に晒されることになった。ここまでの経過で苦境に立ったシティの要請から出資に応じていたシンガポール政府投資公社(GIC)やサウジの王子(アルワリード)の持ち分も普通株に転換されるが、どの程度かは未定。その比率に合わせて米国政府の普通株転換の比率が変わる取り決めらしい。最大で政府が36%の筆頭株主になると。ならば他の銀行も政府による普通株の取得の可能性が、という連想が働いて昨夜のNYは金融株が売られた。

ストレス・テストの内容が発表されたことが、今週のハイライトだが、当方の関心事は金融機関の精査にどの程度の時間を要するのかという点にあった。それが4月末と発表されたが、期間を明確にしたことは市場にひとつの指針を与えるものとなる。

昨日もファニー・メイについてここで書いたが、年始に入って発表された金融決算を改めて思い出して欲しい。昨年までの決算とは明らかに異なるのは、赤字の規模が一気に膨らんできたということ。景気の悪化が進み不良資産が更に膨らんでいることがあるが、当方は、ついに簿外(オフ・バランス)に隠していた傷みを表面化させ始めたと読んでいる。政府の資本注入を受けたまま、じっと我慢で嵐の過ぎるのを待つスタンスは、もはや取れないとの判断もあろう。何度か書いてきたが、政府が求められる資金注入は膨らむのは必至で、議会対策を中心にオバマ大統領の政治的手腕が試される。

最近、サマーズNEC委員長の陰に隠れあまり話題に上らないボルカー経済回復諮問委員長(元FRB議長)だが、1月下旬の議会の公聴会で金融対策資金の大幅積み増しを求めていた。しかし2月下旬まで政府は金額が拡大することを前面には出せなかった。今週、それが表明された。

2月が終わったが、それにしてもNYダウの年始からの下げは1713ドル、率にして19.5%に上る。「悪魔が来りて笛を吹く」と題して書いたのが昨年の秋だったが、やはり大きな下げとなった。それは年明け以降に、従来の官民双方の動きが抜本的な解決を意味するものでなかったことを皆自覚したということでもある。

今週は米債券市場からも目が離せなかった。他にもいろいろ、気に掛かるデータがあった1週間。

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1 コメント

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ダブルスタンダード、いやトリプル? (いつも拝見しております)
2009-03-01 01:01:04
お疲れさまです。

ストレステストですが、絵に描いた餅状態とも感じます。リーマン潰して外資からの補填がなかった企業でも規模によっては強烈な衝撃波を世界中に発することになるだろうし、一般紙に名前が出てくる金融企業などは現在の金融システムの緊張状態を考えたら無下に潰したら国際的連鎖倒産などの原因にも成り得るので不可能だと思います。その意志があるかどうかは計りかねますが、バッドバンク構想に基づいた流れなら日本と同じように不良債権の査定と資本注入のセットで行うための査定行為がせいぜいだと思います。日本も一時期言われたようにアメリカも銀行が多すぎるので吸収合併と資本注入が行われるのではと思います。結局日本と同じようなやり方をするなら失われた10年をくりかえすように思えるのですが、もしそうなるとすれば米国債の立場が危ういですね。今週無事に入札を終えましたが、来週セカンダリー市場にてそれらの扱いがどうなるかが気になります。前回の大規模入札の時もセカンダリーで売られたので今回も注意が必要かと・・・米株価は代表的なオシレータ系指標が底なので反発期待が膨らんでいるようですが、週末は残念な結果に終わっています。来週も目が離せない展開です。もし極度の緊張状態となれば、膨らんだGoldももう一段の安値を試すかもと身構えてます。
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