亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「金利差拡大で円安」とは、安易な・・・  

2022年02月02日 21時16分32秒 | 金融市場の話題

FRBの引き締め前倒し、加速観測が利上げ回数の面では年内7回予想が出たところで打ち止めになったのは、そもそも3月を含めて年内7回しか会合はないわけで、行きつくところまで行ったということに。利上げ幅があるが、仮に3月を50bp(0.5%)で始めたとしても、(よほどインフレが過熱しない限り)そのまま50を続けるとは考えにくい。理屈の上では先週発表されたコアPCE(個人消費支出)デフレータの水準まで引き上げるとも言えなくもないが、理屈なので。。そのうち落ち着くだろうが、直近は4.9%なのでムリ。後はバランスシートの縮小のペースおよび方法だが、償還分をそのまま吸収することで実行されるようだが、先週のFOMC声明文とは別の説明文書では、十分な証券保有残高を維持するとして米国債を主な保有証券とするとしている。つまりMBS(住宅債券)を中心に減らしていこうということで、住宅ローン金利の押し上げ要因になりそうだ。

 

・・・で、何を書こうとしているかと言うと、他中銀(他国)との引き締めペースの違い(=金利差)から「ドル高」見通しを立てる向きも多いと思われるのだが、果たしてどうかということ。

25(0.25%)ずつ仮に3月含め7回上げるとして年末には政策金利は1.75%になる。3月を50にしたら2.0%になる。昔の感覚では2%の水準くらい何ということもないが、全体的に借金(借入)が記録的に膨らんでいるので、これはアウトでしょう・・と。そういえば本日、日本時間早朝のニュースに米国政府の累積債務が初めて30兆ドルを突破したというのがあった。115円換算で3450兆円にもなる。先日書いたが、マージンデット(Margin Debt、株式信用残)が12月時点で9100億ドルにも膨れ上がっている。さすがに長期金利も上がるだろうが、「悪い金利上昇」なると思われる。スポイルされて借金を重ねた結果、金利上昇に経済が脆くなっていると思われるので、短期間に2%への上昇は、やはり危険だろう・・・と。

そう考えたとき、予想とはいえ、そこまでの引き締め見通しが出ているドル相場だが、例えば反対側の円はどうなのよ・・・ということになる。

このままの緩和状態を続けると黒田総裁は宣うが、「このまま」であって、さらなる緩和策はないわけだ。ここにきてさすがの日本企業も調達コストの上昇に音を上げ価格転嫁が始まっている。インフレの面でも日本はガラパゴス化とは行くまい。予想段階だが、引き締め観測が合理的な限界まで行きついているドルに対し、これから見通しが動きそうなのが円とすれば、動く方向は緩和策の終了見通し、あるいは市場金利の上昇ということにならないか。市場金利は日銀が抑えるというのなら、まさにマネタイゼーションを名実ともに認めることにつながる。

いま足元でユーロドルに動きが出てドル指数が下げているのだが、22年も引き続き利上げの利の字も浮かびませんと言っていたラガルド総裁率いるECBだが、そうも言ってられないんじゃないの、との見方が浮上していることがある。「(何度も断るが)予想段階」だが行きついたドルと、(政策的に)動きのなかった日欧に動く兆しが出てくると、大勢とは逆の動きが生まれる可能性がありそうだ。

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