亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

急回復しているインド、中国の金需要(WGCデータ)

2022年01月28日 23時23分14秒 | 金市場

FOMC明けの1月27日のNY市場。株式市場が不安定な値動きを続ける中で、この日は主要通貨に対するドル高が目立つことになった。ユーロが対ドルで1.1133ドルと2020年6月以来の安値まで売られたこともあり、ドル指数(DXY)が急伸し、一時97.292と20年7月以来の高値を記録。1日の伸びとしても、約2カ月ぶりの高さとなった。

このドル高の中でNYの通常取引入りした時間帯に金市場では売りが膨らんだ。具体的には1800ドルを挟んだ売り買い交錯状態となり、終盤にかけてドル指数がさらに水準を切り上げたことから1790ドル台の取引に移行し、そのまま終了となった。NYコメックスの通常取引は前日比36.30ドル安の1793.10ドルで終了ということに。

前日のFOMC声明文発表後の下げ幅をさらに拡大して終了ということになった。DXY(ドルインデックス)の上下動に反応するアルゴのロボットトレードの売りが、この日の下げの中身と思われる。したがって、足元のドル高に持続性があるのか否かがポイントになる。

朝方に米商務省が発表した21年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比6.9%増と、市場予想の5.5%(ロイター)を上回り前期(7~9月期)の2.3%増から加速したことが判明。ドル高の押し上げ材料にもなり金の売りを促した。

10~12月期実質GDPの発表で米国の21年通年の成長率は5.7%と、1984年以来、約40年ぶりの大幅な伸びを記録することになった。ただし、予想以上の高成長だが手放しに楽観できないのは、その内容にある。重要項目の消費は、伸びが拡大したものの予想を下回っていること。さらにオミクロン株の流行で在庫が積み上がったことが指数を大きく押し上げている。在庫の積み増しは特殊要因につき22年1~3月期はかなりの減速が免れないとの見方が。

実際にこの日の米債券市場では、中長期の景気見通しを反映する傾向のある10年債利回りは、一時1.784%まで低下し、1.804%で終了した。前日は1.877%まで上昇していた。一方、FRBの利上げ方針を織り込んで動く短期債の方は2年債利回りがこの日も上昇。1.208%と、約2年ぶりの高水準を付け1.151%で終了。2、10年債間の利回り差は0.613%と2020年11月以来の水準に縮小している。その差が接近し逆転(逆イールド化)すると、景気後退の兆候を示す有力なシグナルとされるもの。

なお、国際的な金の広報調査機関ワールド・ゴールド・カウンシルから21年10~12月期の金需要統計が、日本時間本日午前に発表された。

世界の金需要は10四半期ぶりの高水準となる1147トンとなっていた。宝飾需要および地金・金貨の現物需要の増加が押し上げ要因となっている。 通年の宝飾需要では、インドが611トンと前年の316トンから93%増。中国は675トンと前年の414トンから63%増と、いずれも新型コロナ前の2019年の需要も上回っている。

地金・金貨の現物需要もインド187トン(同43%増)、中国286トン(同44%増)とインドは2015年以来、中国は2018年以来の水準となっていた。

やはりインフレは米国のみならず新興国を含め世界的な広がりを見せていることから、金の現物に対する草の根的な買いが広がっているようだ。この買いはFRBの金融政策など無関係な部分で、金価格の底支え的な役割を果たすが、無視できない要素でもある。

本日はYouTube兼Podcastの収録で遅くなった。

以下、本日、午前のラジオNIKKEI 「マーケット・プレス(前場)」ライブの番組音声を頭出しURLを送ってくれました。ありがとうございます。 以下で本日の放送内容を聞いてもらえます。

ラジオNIKKEI マーケット・プレス

https://twitter.com/market_press/status/1486923500895944706

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