亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

宴の後片づけ

2008年11月24日 16時58分38秒 | 金融市場の話題
証券時代の友人から電話をもらった。今はまったく違った分野で会社を立ち上げ、ここ数年で完全に軌道に乗り業容も拡大しており、いわば“勢い”のある友人のひとりである。時々電話で話をしているので其々の近況ではなく、最近の市場動向に話が向くことが多い。GMはじめビッグスリーの救済が話題になった。どう思う?と聞かれ、以下のように答えた。

結局、どう転んでも混乱は不可避。その混乱が目先で起こるのか、先で起こるのかの違い。救済の手を差し伸べなければ、株式市場は相応のショック安に見舞われ、その余波がどの程度まで及ぶのか見えないため、何らかの手は打ちそうだ。ただし、世論を納得させる必要があり自助努力を求めるため、結局は雇用の悪化や景気へのマイナス要因は避けられない。企業側への要求を緩くすれば、今後ホワイトハウスに陳情の嵐が巻き起こりそうだ。救済してほしい業界は、どんどん広がる。いわゆるモラルハザード。多少の合理化策を講じるくらいでは、破綻の先送りに終わり、ますます救済コストが膨らんでしまう可能性がある。

そう思う背景が、今月初めに発表された10月の米国の新車販売台数の結果。前年同月比で約32%の減少で年率換算で25年8ヵ月ぶりの水準に落ちていた。10月は日本でも軽自動車を除いた販売が前年比約13%減で1968年以来40年ぶりの落ち込みだった。日本の場合、若者の自動車離れが指摘されているが、早い話が経済の成熟化で自動車もほぼ行きわたり国内需要は頭打ちということもあろう。その点、米国は今なお移民などで人口が増えており、人口増加分を勘案するとこの落ち込みは、数字以上に深刻といえそうだ。

ポイントは、“(すべてのメーカーやアナリストの)予想を遥かに上回るペースでの減少が見られている”という点にあるのではないか。つまり経営の均衡点を示す適正な生産能力(市場の環境を捉えた儲けが出る会社の規模)を考えると、かなり水膨れしている可能性があり、それをドラスティックに変えないといくら資本支援をしても赤字の垂れ流しになり、時間の経過とともに弱ることになる。売れる車作りといっても、すぐにどうこうなるものではないし、退職者の医療費負担などの削減も交渉に時間が掛かり、すぐに形になりそうにない。いっそ、共和党政権のうちに破綻の上で更生計画といくか・・・。

思えば「宴の後片づけの時間帯」という点で2001年に似ているが、症状の重さはその比ではなく、時間の経過とともに実態が表面化という流れ。バブルは後で起きたものほど後遺症も大きいとされ、異論はないが、我らはそうした事態を目の当たりにしているということだろう。政権移行期の空白を埋め、不安心理の広がりを抑えるためにも、オバマ次期政権は経済チームの発表を早めるということか。

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