亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

中東情勢受け有事モードで反発したNY金

2024年10月02日 15時06分27秒 | 金市場

10月1日のNY金は3営業日ぶりに反発した。NYコメックスは前日比30.90ドル高の2690.30ドルで終了。この日はNY時間に発表される9月製造業景況指数や8月求人件数に市場の関心が集まる中で、まず市場が反応したのは地政学リスクの高まりだった。

 

中東情勢の緊迫化を受け、金市場は買いを集めた。

中東ではレバノンへの空爆を激化させていたイスラエルが、次のステップとしてレバノン領内に地上侵攻を開始と伝わっていた。対して、米国はイランがイスラエルに対しロケット攻撃を始める準備をしていると警告。有事モードに転じた市場では、安全資産として米国債や金(ゴールド)に買いが入り、原油価格も上昇した。NY時間外のアジアからロンドンの時間帯を買い先行で水準を切り上げていたNY金は、通常取引入り後の午前の早い段階で2690ドル台へ急伸した。

ただし、初動の反応は長くは続かず2670ドル台に反落する荒れた展開に。

市場横断的に動きがやや沈静化したところで、NY時間午後に入りイランがイスラエルに対し約200発のミサイルを発射したとイスラエルが発表。その大半が迎撃されたとした上で、反撃態勢を取るとした。市場は反応を示しNY金は再び急伸し午前の高値を抜き一時2694.70ドルを付け、これがこの日の高値に。終盤は売り買い交錯状態となり、冒頭で取り上げたように2690.30ドルで通常取引は終了。その後の時間外取引はやや売り優勢の中で2684.80ドルで終了した。

初動で71.94ドルと一時前日比5.5%高と急伸した米国産原油WTIも、買いが一巡すると売り優勢に転じ、上げ幅を削って69.83ドルで終了した。

 

イランによるイスラエル本土に対するミサイル攻撃は4月に続き2度目のこと。その際はイラン、イスラエル双方ともに報復攻撃を掲げたものの、それ以上の進展は見られず沈静化した経緯がある。パレスチナガザ地区でのハマス攻撃に一定のメドをつけたと見られるイスラエルだが、ここに来てレバノンに拠点を置くイスラム教シーア派武装勢力ヒズボラへの攻勢を強め、レバノンへの地上侵攻にまで踏み出した。それでもイランは音なしの構えで、中東での戦域の拡大は望んでいないとの見方があった。

その中での対イスラエル、ミサイル攻撃だったが事前に米国経由で攻撃情報が伝わった点は4月と同様で、大半が迎撃されたことも前回と似ている。イラン国内の不満の高まりに対するいわばガス抜き的な動きなのか不明だが、警戒感は残るものの市場の現状は落ち着きを取り戻している。この件での上昇持続は難しそうだ。

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