亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

株高を喜べない分断されたアメリカ

2016年11月10日 23時17分24秒 | トピック
昨夜は、長期金利が上昇していることに触れ、NY株の反応が見ものとした。結果は、株は安く始まったものの、直ぐに切り替えし大幅続伸ということになった。はっきり言って、トランプの選挙戦中にしゃべった公約らしきことを“いいとこ取り”という消化の仕方で買い上げる形になった。

もともとヒラリーが負けたことで薬品株が上昇するであろうことは、薬価の高さに何度も言及していたことからわかりやすかった。リーマンショックにつながった投資銀行などの野放図なリスクテイクの抑制をねらい強化された規制について、緩和方向との解釈で金融株も買われたと。トランプは、そこまで突っ込んだことを言っていたのか?そもそもドットフランク法自体が、当初の厳しさは後退していたように思うが・・。減税とインフラ整備については、キャタピラーなどが連想買いの対象となったようだ。

金利の急騰につては、トランプ政権下では財政赤字が急激に膨らむとの見通しのもとで、債券が売られ、いわゆるロボット・トレーディングで急落状態となったことが、長期金利(10年債)を前日の1.8%半ばから一気に1.9%半ばへ、さらに2%超へと跳ね上げることになったようだ。

国債価格の急落を意味するが、なんと9日は米財務省による10年債の入札日(発行日)で、最高落札利回りは2.02%となった。前回は1.793%だった。米国政府にとって利払いの負担が一気に増えたことになるが、先行きの日本国政府にとって他人事では済まされない出来事といえる。債券市場も中央銀行の介入で、市場参加者が減り金利変動も大きくなっている。

今夜はドル・インデックス(DXY)が急騰しており100ポイントに迫っている。金市場には自動的に売りが広がるのは、事前のプログラムによる。一部では自己判断で売りを持つロボット(システム)も開発されているとの話もある。

それにしても株高となったことで、市況の方はパニック状態への落ち込みを回避したかたちだが、米国内ではヒラリー支持の学生を中心としたデモが活発化しているようだ。分断されたアメリカの姿として報道されているが、トランプの選挙戦での発言内容は大統領になったからといって容認されるわけではなく、仮に選挙戦術として敢えてとった発言としても残した爪痕は深く、尾を引きそうだ。

議会選挙優先でトランプとは距離を置いた共和党議会指導部としても、よもや当選するとは・・・・ということだろうが、どう対応するのか。仲たがいした下院議長ポールライアンとの間を次期副大統領のペンスが取り持つということのようだが、世論の環視の中でどう折り合いをつけるのか。民主主義の枠組みの中で悩ましく困った状況が生まれた。ホワイトハウスの雰囲気も変わりそうで、何ともえらい選択をしたものだ。

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