亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

上下双方、反対方向のベクトルが存在する金市場》

2017年04月10日 23時56分36秒 | 金市場

先週7日のアジア時間午前に、にわかに発生したシリアミサイル攻撃というニュースに、「一般的に“有事の金高”は長続きしない」と書いた。

7日のNY市場のオープン時の1270ドル超への上昇は、シリア問題ではなく米雇用統計での雇用者増加数が前月比18万人増に対し9万8000人に下振れしたことに瞬時に反応したロボット・トレードがもたらしたものとみられた。最後は、ダドリーNY連銀総裁の追加利上げに対するタカ派的発言が出て、結局、シリア上昇分を帳消しにして終了となった。

今の金市場には、上昇要因「政治リスク(地政学的要因)」と下落要因「好調に進む景気回復(≒FRB追加利上げ)」というそれぞれ反対方向のベクトルが存在し、綱引き状態となっている。どちらの力が大きくなるかで上下に振れている状況だ。

シリア攻撃にしても、トランプ政権では、まだすべての閣僚の承認は終わっておらず、特に、足元の国防総省ではマティス国防長官以外の主要な幹部約50人の政治任用が進まず、空席になっている現状を考慮する必要がある。既存の政策の実行で手いっぱいとされ、こうした体制の下で強行された攻撃ゆえに、今後の展開を周到に準備したもの、すなわち
大きな戦略の下での行動ではないと思われる。つまりシリア、ロシアの反応にもよるが、戦端を切ったわけではなく警告、脅しをかけたということになりそうだ。

いわゆる“行って来い”状態の金市場の値動きは、その辺りを示したものかと。ただし、7日と同じことを書くが、不安定な政治環境を印象付けたこと間違いなく、金融市場は警戒モードを解くことは出来ず、金の堅調地合いは続くとみられる。




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