11月15日のNY金は上下に不安定な値動きとなった。
通常取引は前日比ほぼ横ばいの1776.8ドルで取引を終えたが、午前に一山あった。 朝方発表された10月の米生産者物価指数(PPI)が、前週発表の10月の米消費者物価指数(CPI)に続き市場予想ほど上昇しなかったことから、インフレのピークアウト観測が広がった。米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの見方を一段と強め、米長期金利の低下とともに、ドルが主要通貨に対し弱含みに推移する中で、金は一時1791.80ドルまで買われた。
ただし、このところ1週間で100ドル以上水準を切り上げたこともあり、利益確定売りも出やすく、切り上げた水準を維持できず前日終値近辺に押し戻されることに。終盤は、1770ドル台半ばでこう着した。
第2波は日本時間の今朝話題になったポーランド領内へのロシア製ミサイルの着弾だった。
大西洋条約機構(NATO)加盟国であるポーランド領内に着弾し、死者が出たということで、市場は色めいた。流れミサイル?であってもロシアが発射したものであれば、集団的自衛権を定めたNATOゆえに、ロシア対NATO軍の戦いが始まる可能性が出ることになる。もちろん双方ともに望んでいないとみられ、冷静な対応が進められたようだ。
この日、ロシアはウクライナの主要な約10都市に対し大規模なミサイル攻撃を仕掛けており、大方の見方は、その中のものがポーランド領内に着弾したというものだったろう。現時点でも調査中のようだが、ウクライナ側の(ロシア製)迎撃ミサイルが、ポーランド領内に飛び込んだということで、幕を下ろすような展開となっている。この辺りは様々な憶測を挟むことができるので、この後、いろいろ分析記事やら憶測記事やらが、飛び回ることになりそうだ。ウクライナ支援疲れが広がっているタイミングでもある。
ちょうどこのニュースが報じられたときは、NYコメックスは時間外取引の時間帯に入っていた。1770ドル台に押し戻されていたNY金だったが、まさにPPI発表直後と同じような軌道で1790ドルに急接近し、間もなく値を消すことになった。ただ、落ちた値位置は1780ドル台で時間外取引は1781.90ドルで終了ということに。
朝方は、発表された10月PPIの結果を受け、ドルが対ドルを中心に売られドル指数(DXY)が急落し 一時は105.34ポイントと8月12日以来の低水準に落ちたのが、金市場ではファンドのショートカバー(空売りの買戻し)を促した。ただしミサイル報道では場所が欧州でありユーロが売られ、DXYは106ポイント台まで戻したことから、以後のファンドの動きは限られたとみられる。
偶発的な事故や攻撃をきっかけに、大きな戦争が勃発したのは歴史が教えるところではある。しかし、通信手段が格段に発展し情報収集に時間を要せず、相手側の意思も確認できることから、大事には至らないと思われるものの、予断を許さぬ時代に入っているのも事実で、この先もこの類のことは起きそうだ。 今夜はユーロが強含んでおり、DXYは再び106を割れ、NY金は1780ドル台で推移中となっている。
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