亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金市場も追加財政協議を注視

2020年12月04日 19時30分58秒 | 金市場
今週のメインイベントと言えるか否かは別として本日は11月の米雇用統計発表日。年内最後となる。市場予想は失業率が10月の6.9%から6.8%に低下。景気動向を表すとされる非農業部門雇用者数(NFP)は前月比48万人増前後の伸びが見込まれている。ちなみに10月は市場予想53万人増に対し63万8000人増だった。ポイントは11月以降に新型コロナ感染拡大のピッチが急激に上がったことから、予想値に対し下振れがどの程度起きるのか否かにある。今週1日に発表されたISM製造業指数の雇用は48.4と縮小を表す50ポイント割れとなった。これは8月以来の低水準となる。10月は53.2だった。一方、3日に発表されたISM非製造業の雇用は全体指数が55.9と市場予想を下回るとともに、この6カ月で最も低かったにもかかわらず、51.5と前月の50.1から予想外の健闘となった。ADP民間雇用も11月は30万7000人増と失速を示したので、どうなるか。

ポイントは予想を離れた失速となり、それが足元でこう着状態の追加経済対策協議を進展させる方向に動くのか否かにある。11月の一連のワクチン開発進展発表以来、市場の関心は現実の投与が、どのように進むのか否か。追加の治験結果で安全性や抗体の有効期限などの追加情報がどうなるかに移っている。それと、この追加経済対策。3日のNY金は1840ドル台に乗せていたところで、ISM非製造業の雇用が良かったことで、発表後にストンとマイナス圏まで落とされた。各種支援策の失効などで「財政の崖」などと騒ぐわりには問題ないじゃないかという下げ方ということか。ただし、売りが一巡すると前日同様に戻りも早く1840ドル台に復帰して終了となった。本日も雇用統計よりは、財政協議の動向に注目ということに。目先は、それによりドル安(ドル指数の低下)がどこまで進むかにかかっている。

価格面では11月の下げの3分の1戻しを達成し、週末の本日1850ドルを越えて引けると思うがどうなるか。最終データは来週の中頃になるが、11月に金ETFの総残高は当方の概算で110トンほど減ったと思われる。ワクチン効果期待で益出しのうえで株式市場への資金移動があったと見られるが、12月に入ってもこの傾向は静かに続いている。ただし価格は上昇という流れ。昨日、先物市場主導型の価格展開としたが、ポジションを組み直す動きが出ているのではと思った次第。

なお、3日はゴールドマン・サックスがS&P500株価指数への採用を控えている米電気自動車大手テスラの投資判断を「Buy」に引き上げ、同社株が4.3%の急騰となった。日本でも経産省が、2030年代半ばまでに新車販売をすべて電動車に切り替える目標を掲げる方向とされる。このところ米次期政権が掲げる再生エネルギー投資への期待もあり、プラチナの投資需要が高まっているとみられ、この日も上昇。4営業日続伸の26.50ドル高の1038.60ドルで年初来高値を更新した。一方、ガソリン車の排ガス浄化触媒需要が需要の柱のパラジウムは、前日比90.30ドルの大幅続落で2317.90ドルで終了となった。

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