亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金、四半期末の益出しとポジション整理で反落 

2024年09月30日 20時48分54秒 | 金市場

先週末9月27日のNY金価格は8営業日ぶりの反落に。

前日まで5営業日連続で史上最高値の更新をしていただけに、この日は週末に加え月末さらに四半期末が接近する中でNY時間に入り利益確定売りが急速に膨らんだ。ファンドの持ち分調整の売り(re-balancing)も加わった。NYコメックスの通常取引は前日比26.80ドル安の2668.10ドルで終了。それでも週足は21.90ドル、0.83%上昇と3週続伸となった。

 

この日発表の注目の8月の米個人消費支出(PCE)統計では、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア価格指数(PCEコアデフレーター)が前月比ベースで市場予想を下回る伸びにとどまった。消費支出の伸びもわずかで、景気の減速感が示唆された。

1週間前の20日にウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)にて0.5%利下げを支持したことについて、インフレの減速が想定以上に進んでいることを指摘していた。その際にPCEコアデフレーターが3カ月平均で1.8%未満とFRBの目標値2%を下回るのではないかとしていた。その発言を受け次回11月会合での連続大幅利下げ期待が高まり、結局PCE統計発表前日26日にNY金は、目先筋のファンドの買いに2700ドル超まで駆け上がっていた。

 

ウォラー発言後、前のめりに大幅利下げを織り込み連日の史上最高値更新となったNY金。さすがに27日は高値警戒感が高まった。NY時間外のアジア時間からロンドンさらにNY早朝に掛け売りが先行しマイナス圏で推移した。それでも2680ドル超を維持していた。NY通常取引に入り発表された8月PCE統計は市場予想を下回る伸びとなった。結果を受け買い優勢に転じたNY金は、一時前日比プラス圏となる2696.90ドルまで買われた。ただし、買いが一巡すると売り買い交錯状態となり、その後2690ドルを割れると売り圧力がにわかに高まり下げ足を速めた。いったん2670ドル割れで反発したものの、終盤にかけて売り直され一時2665.30ドルを付け、これがこの日の安値に。この水準を横ばいで推移し通常取引は2668.10ドルで終了。その後の時間外取引では押し目買いが入り、値を戻す流れに転じ時間外取引は2680.90ドルで終了した。

前週のFOMC当日と同じ、「噂で買って事実で売る」パターンとなった。ただし、急速に水準を切り上げた割には押しは浅い印象といえる。

 

件(くだん)の8月PCEコアデフレーターは、前月比0.1%上昇と市場予想の0.2%上昇を下回るとともに3カ月ぶりに低い伸びとなった。年率では2.7%上昇と予想と同じ水準に。結果的には3カ月平均年率2.1%の上昇とウォラーFRB理事が懸念するほどには、インフレは軟化していなかった。ただしインフレの鈍化が継続すれば、新たな政策金利の水準4.75~5.00%はかなり景気抑制的であり、確かに利下げ余地は拡大していると言える。

 

なお、先週は自由民主党の総裁選を巡り、報じられたようにドル円相場が乱高下したが、いわゆるノイズという位置づけで一過性の動きと言え、当面ドルの戻り売り状態が続きそうだ。

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