亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

12月も続いているETF売り

2020年12月07日 21時10分35秒 | 金市場
米国の新型コロナ感染拡大が止まらない。5日までの5日間で100万人が新たに感染し、4日は1日で22万7885人の感染が発生したとされる(ジョンズ・ホプキンス大学)。トランプ大統領の顧問弁護士のジュリアーニ元NY市長の感染も伝えられた。このところ選挙結果が固まった共和党が優勢の激戦州を回り、州議会が(バイデン氏当選の)選挙結果を無視してトランプ大統領を支持する選挙人を指名するよう説得工作をしていたとされる。しかし、これ、投じられた票を根底から無効にするというもので、民主主義も何もあったもんじゃないが、実際にそうした動きに出ているようだ。そもそも不正な選挙結果だから、そうした方法も許されるとの解釈らしい。しかし、その不正の根拠を示していない。しかし、米国政治は波乱は避けられそうにない。

話を戻して、感染拡大の影響はやはり11月の雇用統計に表れた。失業率は6.7%と、前月の6.9%から改善。市場予想は6.8%だった。しかし、景気動向を敏感に示す非農業部門雇用者数(NFP)は24万5000人増と、前月改定値の61万人増から大幅に鈍化。市場予想の46万9000人増も下回った。雇用者の伸びは5カ月連続で減速し、11月の増加は5月以降で最少となった。

業種別では小売業が3万5000人減少。一方で運輸・倉庫業は14万5000人増で、新型コロナ禍のネット通販の隆盛を表す結果に。通常は季節雇用が増える小売業が逆に減少、運輸・倉庫業の増加は全体の伸びの5分の3近くを占めた。

また11月の政府部門の雇用者数は9万9000人減と3カ月連続で減少となった。社会保障費が急増し財政が悪化している州・地方政府が学校などを中心に一段の雇用削減を実施している。もともと民主党が追加支援策に感染拡大が目立つカルフォルニア州など地方自治体向けの財政支援追加予算を盛り込もうとしたが、共和党側が選挙前に民主党地盤の自治体のサポートを嫌い、折り合わなかった経緯がある。民主党側も混乱に乗じ、予算措置を潜り込ませようとしたのも確かだろうが、結局今に至って雇用減という形で表れている。

この結果を受けてバイデン次期大統領は、「低調な」結果が景気回復の失速を示唆したとして、議会が迅速に追加経済対策法案を可決しなければ、「暗い冬」が状況を悪化させると警告した。ただし、この結果を受けた米株式市場は、ダウ30種が248ドル高で3万ドルを越えて取引を終了するなど、主要3指数ともに過去最高値を更新した。雇用統計のさえない内容がむしろ政府の追加支援策を促進するとの期待が高まり、株高につながっているとされる。それでも株高の基盤は、やはり、市場の想定以上に早まったワクチン開発といえる。この点で今後副作用を訴える接種者などが現れるなどすると(個体差などから考えて、おそらく現れると思われる)、株式市場には多少の波乱はあるのだろう。

先週末のNY金は小幅に反落となった。前日までに3営業日続伸でこの間に3.4%、約60ドル上昇となったことから、さすがに週末も重なり利益確定の売りが出て上値は重くなり、主に1840ドル台の狭い範囲でのレンジ相場となり、前日終値近辺の水準で取引を終了した。

気になるのは、12月に入って以降も金ETF(上場投信)への売りが続いていること。最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の残高は、12月に入り4営業日中で3営業日減少し計12.08トン減っている。4日は7トン超とややまとまった売りが出された。先週も触れたが、金価格の戻りはNY先物市場主導型で進んでいる。したがって、まだ不安定な状態が続きそうだ。目先はドル指数の上下に沿って、先物主導の上下動が続きそうな気配。



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