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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

トランプ政権に対する懸念にFOMC議事録のハト派トーンを受け上昇

2017年08月17日 16時19分00秒 | 金市場
日本が3連休となった先週末以降の海外金価格は、北朝鮮情勢の緊迫を映した買いで、11日には一時1298.10ドルの高値を見ていた。しかし、互いに威嚇合戦の様相を強める米朝首脳は別として、マティス米国防長官、ティラーソン米国務長官らの閣僚レベルでは、対話の道を残すなど現実的対応に腐心していることが明らかになり、緊張状態は緩和。こうした環境を映し、市場での警戒感も後退し売られていたドルは買い戻され、金市場でのリスク回避型の上昇も一巡することになった。結局、金市場では、6月6日の年初来高値(1298.80ドル)の更新はならず、週明けの14日、15日と売りが先行する地合いに転じ、15日には一時1272.70ドルまで水準を切り下げていた。

こうした流れの中で迎えた16日の市場で注目を集めていたのは、午後2時に予定されていた(7月開催の)連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録要旨の公開だった。当初から雇用環境の改善の割にはインフレ率が加速する気配が見られず、追加利上げに対し意見の割れが見受けられていたFOMCだが、果たしてインフレに対し弱気な意見が目立ち、参加委員間の意見の相違が明らかになった。市場は、議事録の内容をハト派的トーンと受け止め(追加利上げ観測の後退)、議事録公開直後から、それまでのドル安傾向が加速し、貴金属市場全般に買いが集まる中で金も水準を一段と切り上げ1290ドルに接近することになった。

この日議事録発表前の市場では、前日までのドル買い、米長期金利の上昇、金売りの流れに変化が見られ、それぞれ反転する動きとなっていた。トランプ大統領による政権運営に対する懸念すなわち政治リスクの高まりを映した動きだった。先週末に南部バージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義団体と反対派が衝突し死傷者が出た問題に対する大統領発言が二転三転し、差別容認とも受け止められたことによる。

大統領への非難の声が高まる中で、新政権発足時に組織されていた大統領への助言機関(アドバイザリー・ボード)に名を連ねていた米大手企業首脳の中で委員を辞任する動きが続くことになった。医薬品大手メルク、スポーツ用品大手アンダーアーマーさらに半導体大手インテルや企業団体のトップが次々辞任。こうした動きに非難の声を高めていたトランプ大統領は、16日に突如、2つの組織(米製造業評議会、戦略・政策フォーラム)の解散を発表した。もともと企業寄りで知られる共和党にあって、産業界によるトランプ離れの加速を嫌気した市場では、ドル安傾向が強まり、金には買いが集まり、NYコメックスの金の通常取引は前日比3.20ドル高の1282.90ドルで取引を終了していた。その後の時間帯にFOMC議事録が公開され、先に触れたように騰勢に拍車がかかることになった。

来月には連邦債務上限問題で困難な議会対応が予想される中で、トランプ政権に対する懸念の高まりは、北朝鮮問題とは別の政治リスクとして、今後さらに意識されることになりそうだ。

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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (fairlane)
2017-08-17 21:43:38
http://jp.wsj.com/articles/SB12770969881247764526304583335041270896904
NY連銀地下の金塊6200トン その真偽は

James Turkって年季の入ったGold Bugですよね 誰にも分からないことではありますが、そんな事が起こっているはずがない と言う前提で金の世界は動いてますが
なんとも魑魅魍魎の世界ですね 
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