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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「金押し上げベクトル」浮上中 

2021年12月17日 21時15分08秒 | 金市場

今週は主要国の中銀の政策決定会合が重なる週だった。FRBに始まり昨日のBOE(英中銀イングランド銀行)にECB(欧州中銀)、そして本日のBOJ(日銀)で終了。

先行したFRBがテーパリング(量的緩和策の縮小)の加速と22年3月中の終了、および22年中に3回、さらに23年も3回の利上げを見込む方針を示したことで、まずドルが買われた。先行して引き締め方向の政策方針を示したことで、ドル指数(DXY)は1年5カ月ぶりの高値水準となる96.906まで上昇。しかし、そこが一杯で終盤は水準を切り下げていた。

で翌16日は、BOEが政策金利の引き上げを発表したことから、対ドルでの英ポンドの上昇が口火を切る形で、今度は主要通貨全般にドルが売られドル指数は一時、95.851まで低下。ファンドのアルゴリズムから機械的に金に買いが入ることになった。

 

日本時間の明朝発表されるCFTC(米商品先物取引委員会)の数字が14日時点、つまりFOMCの政策決定直前のものになるので興味深いのだが、12月7日時点までの3週間の流れから判断して、おおむね予想は付く。ファンドはFRBのタカ派傾斜を警戒し、買い建てを削り、ショートを積み増していた可能性がありそうだ。

すでに7日時点までの3週間でグロスのロングは重量換算で186トンほど減少していた。つまりFOMCを前にNY金は身構えた状態にあったわけだ。で発表されたのは、金市場にとって向い風ではあるものの想定内の政策方針と見通しだった。そこで発表後に買い先行となったのだが、翌日は先行したFRBに続けとばかりに前回は利上げするものと身構えていた市場に肩透かしを食らわせたBOEが、今度は本当に利上げを発表。ドルの下げ(ポンドの上げ)とともに金市場は買い優勢の流れに転じることに。

 

「FOMC後にNY金は強含む」との予想を構成するモザイクのピースは、完全ではなくともほぼ埋まることになった。本日はアジア時間から徐々に水準を切り上げ、日本時間の夕刻の時点で1810ドルにタッチする展開につき、このまま1800ドル超を維持して終了すれば、ファンド勢の意気(テクニカル・センチメント)も上がりそうだ。

 

BOEは16日、政策金利を0.1%から0.25%に引き上げした。主要7カ国(G7)の中で新型コロナ・パンデミック(世界的大流行)発生以降で初めて利上げを実施した主要中銀ということになる。オミクロン株の影響よりもインフレ対応に力点を置く政策に転じることになった。インフレ率が来年4月に目標の3倍の水準となる6%に達する公算が大きいという見通しも示した。前の日に英国立統計局(ONS)が発表した11月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比5.1%と、10月の4.2%から加速し、約10年ぶりの高水準となっていた。

それにしても、英国では伝えられているように新型コロナの新規感染者数が16日まで2日間連続で過去最多を記録。16日の新規感染者数は8万8376人で、これまで過去最多だった15日から1万人程度増加していた。主要中銀はオミクロン株を成長やインフレ面でリスクと捉えているものの、対処可能で景気回復は軌道を外れることはないとみている。ところが、同じ16日にIHSマークイットが発表した12月の英国のPMI(購買担当者景気指数)速報値は53.2で、11月の57.6から低下し、10カ月ぶりの低水準となっていた。インフレ抑制かコロナ対応の景気サポートか、BOEに限らず主要中銀は難しい局面に差し掛かっていることを表す。

 

こうした状況も、先日書いたが、「金押し上げベクトル」のひとつで、足元の金価格をサポートしているわけだ。

一方、欧州中央銀行(ECB)はこの日、新型コロナウイルス対応の緊急支援策は2022年3月で終了するものの、資産買い入れ(量的緩和策)は継続し、来年の景気を支援する方針を示した。ラガルド総裁は記者会見で、感染拡大がユーロ圏の個人消費を抑制し、成長を脅かしていると強調。引き続き22年中の利上げは見込んでいないとした。それでもユーロは買われた。

FOMC通過で、これまでとは逆向きの「金押し上げベクトル」が浮上中。。

ナスダック引き続き要注目

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