意外と上昇の幅が大きかった22日のNY株。何か材料でも出たのかと思ったが、目立ったものはなし。基本的には、北朝鮮情勢やホワイトハウス内の人事のゴタゴタに象徴される政治リスクの高まりに反応した先週の下げに対する、自律反発ということか。ただし、トランプ政権の変化を映したものではと思わせる要素もあったように思われた。
それは、トランプ大統領が21日のテレビ演説にてアフガニスタンでの米軍のプレゼンスを上げる方向の新たな戦略を公表したこと。ここまで海外への関与を控え米国第一主義に徹するとの公約の下、「世界の警察」的な機能は人員的にも予算面でも割に合わずアフガンは撤収という方針を大きく変えたことを意味する。ただし、方針転換を表明するトランプ演説は、具体的内容には言葉を濁し、しぶしぶという印象の話しぶりだった。本人の意向には沿わないものだからだ。
思うのは、ホワイトハウス内の人事の入れ替えの結果、軍人色が強まったのと同時に、ここまでの軸の定まらない独断専行的なトランプ流の政策方針から、省庁や議会が機能する兆しが見え始めている可能性だ。仮にそうなら、これからは閣僚も役職に沿った裁量的な発言が増えると思われる。スティーブン・バノン首席戦略官・上級顧問が政権を離れた効果というか、新任のケリー首席補佐官の本領発揮ということだろう。
ただし、ワンマン運営に慣れた大統領には面白くない展開になり、この先に、またぞろ首席補佐官の解任などということがあっても不思議ではない。それは自ら墓穴を掘ることに等しく、政治リスクが再び燃え上がることになる。忘れてならないのは、この先、政権運営面での政治リスクは低下の兆しがあったとしても、ロシアゲートという別の政治リスクは依然として潜在化したままで、何が飛び出すかわからないということだろう。