疑えば切りがないし話も始まらないというのが昨日発表された中国のGDP成長率。7-9月期が前年同期比で6.9%となった。7%目標で6.9%というのは印象としては微妙だ。目標にほぼ沿っていてこの夏以降、騒がれているほどの問題じゃないではないか、ということになる。「7%割れ、6年ぶりの低成長」(日経)は、日本を上回る巨大経済が7%近くも成長している!!というのが別の意味で驚きでもあるのだが、中国の場合、比較となる近年の数値が桁外れに高いので、高速道路を100キロ以上で走っていて一般道に入った途端に極端に遅く感じる感覚と似ているということか。
思うのは、GDPで日本を抜いてアッという間に日本の1.6倍という中国だから、その規模から仮に5%成長でも“すごい数字”であって、どこかの国が毎年生まれているような経済規模の拡大が続いているわけだ 。消費関連では底辺需要の拡大が続いているということ。楽観はもちろん出来ないが、逆に悲観一色も問題というふうに思う。
指標を発表する国家統計局も疑われていることは承知だろうが、今回はGDPの算出方法を見直したとされるが、どのように見直したかは不明で、見直しされると過去のデータとの連続性が切られ比較が難しくなるのも困りもの。そもそもどうなっているかワカラナイという不透明さが、中国懸念を独り歩きさせている。人民元の国際化ということで国際通貨基金(IMF)への働きかけをしている中国ゆえに、信頼度をあげる努力をしているのではあろうが・・。
人民元の国際化に関しては、何か国民に訴える成長や変化のシンボルを欲しがっている習近平政権にとって、人民元の(IMFの)SDR算出通貨採用は悲願ということだろう。選挙で選ばれていない代表者は、国家主席になるまで(共産党員以外)国民の誰もが知らない人物であって、国際的な何かを成し遂げる必要があるのだろう。英国訪問についても、「エリザベス女王の招き」を要求するというのも、内外どちらかというと内側への思惑のように思われる。以前(去年か)李克強首相が英国訪問に際し女王への謁見を求め拒否されると、ならば行かないとゴネて結局キャメロン政権が折れるということがあったと記憶している。今回の女王のお招きも中国サイドからの強い要望ということだろう。
キャメロン政権のこのところの中国への配慮は、経済を前面に押し立てた外交姿勢の最たるものだが、人民元取引の欧州での中心地を巡り大陸側との綱引きが続いている。先週、人民元建て国債の発行をロンドンで行うという報道があったが、さしずめキャメロンの“秋波”が功を奏したということか。人民元のSDR入りも英国が強く支持するという流れが見える。まぁ、武士は喰わねど高楊枝など無意味で、プライドなど経済優先外交には邪魔というか、長いものには巻かれろということのようで。