金(ゴールド)の国際的広報調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が4月30日、2025年1~3月期の需給統計を発表した。
新興国中央銀行の買いに加え投資需要(地金・金貨)が堅調に推移、さらに金ETF(上場投信)への資金流入が回復に転じたことで、総需要は価格上昇にもかかわらず前年同期比(以下同じ)1%増加の1206.0トンとなった。
中央銀行による買いは前年同期比21%減の244トンとなったが、引き続き大量購入が続いている。7四半期連続の200トン超えとなる。前年同期は310トンだったが、これは24年4~6月期に上方修正された数字でもある。1~3月期に目立つのはポーランドの45トンだが、国際通貨基金(IMF)に報告されない取引も多く含まれた数字になっている。
価格が最高値を更新する中で地金・金貨は3%増の325トンとなった。中国が12%増の124トン、インドが7%増の47トンだった。前年まで流出が目立っていた金ETFは北米を中心に226トン増となった。一方、価格高騰の中で宝飾需要は380トンの21%減に。中国が32%減の125トン、インドが25%減の71トンとなった。米国は5%減の23トンだった。
供給項目では価格高騰の中にもかかわらずリサイクルが1%減の345トン、鉱山生産は横ばいの855トンとなった。平均価格が史上最高値更新にもかかわらずリサイクルの増加が見られていないのは注目に値する。
4月最終日30日のNY金は続落した。新たな買い手掛かりの乏しい中で方向感なく対ユーロでのドル高を背景にファンドの売りに弱含みに推移した。NYコメックスの通常取引は前日比14.50ドル安の3319.10ドルで終了した。アジア午後、ロンドンの午前から売り優勢に転じ一時3275.60ドルまで売られこれが安値に。NY午前の早い段階で発表された1~3月期米国内総生産(GDP)速報値などが低調な結果となったことから、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測に下支えされる形でNY時間に買い戻され3300ドル超に復帰して終了。ただし、その後の時間外取引で再び売りが先行する流れに転じ3299.20ドルで時間外取引は終了した。4月は月間ベースで168.80ドル、5.25%高となった。
一方、5月1日本日はアジア時間から売りが先行する流れとなり、日本時間17時30分までに一時3228.30ドルまで下値を見ている。時間帯から中国筋の売りを思わせる。全般的に通商交渉について米国側が折れる様相を見せており、緊張緩和を金市場が先取りした売りとも見えるもの。値動きが荒いので決め打ちは禁物がだ、これを受け今夜のNYがどうなるか。