亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

今回も12月のFOMCがNY金のgame-changerか

2020年12月18日 21時36分51秒 | 金市場
>NY金は一時1900ドルを越えるなど、6週間ぶりの高値水準に上昇した。前日のFOMCで示された現行の月間1200憶ドルの量的緩和策の長期継続方針と参加者見通しに基づく23年末までのゼロ金利継続観測が、金のみならずsister metalの銀も押し上げた。足元で発表されている米経済指標が、雇用や消費という米経済の中核分野で減速、あるいは失速懸念が出ていることが、米連邦準備理事会(FRB)のハト派的政策方針と整合性があることも、資金を呼び込んでいる。週末18日に米議会にて追加財政支援策が成立する見込みとされたこともプラスに働いた。合意できるか否かは別の話だが、今回は出来ないと株価にも響くだろう。

一方で米ファイザー、独ビオンテックの新型コロナワクチンの次ぎバイオ製薬モデルナが開発するワクチンの使用許可も今週中に降りるとされ、経済活動の正常化期待も高まる。11月中はワクチン成功、早期投与開始、経済正常化の流れは、金の売り要因となっていたが、一定の景気回復の中でもFRBが量的緩和策の手を緩めないことがコミットされたいま、むしろインフレを想起させ実質金利の低下をもたらし金の買い要因に転じている。

その実質金利という点で、足元で物価連動債から算出される今後10年の予想物価上昇率は1.9%を上回っている。一方、長期金利(10年債利回り)は0.937%なので実質金利(名目金利-物価上昇率)はマイナス1%近辺まで下落。金価格が2000ドルを越えていた8月のマイナス1.08%に接近している。実質金利の低下はドル安につながり、この日のドルは主要通貨に対し全面安状態でドル指数(DXY)も2018年4月以来の90ポイント割れまで下落し、金価格の押し上げ要因となった。ちなみに当時90ポイント割れは2014年12月以来のことだった。ドルが年内どこまで落ちるか見もの。。。


最大雇用(失業率4.1%)の達成と2%超の物価上昇が安定的に維持されるまで量的緩和策を続けるという今回のFOMCの方針は、金市場ではテクニカル面でも流れを変える(game-changerとなる)可能性が出ている。18日の終値(清算値)は、前日比31.30ドル高の1890.40ドルだが、短期的な強気相場を示す50日移動平均線(1874ドル)を越えたことから、テクニカル面でも強気センチメントが醸成されやすい流れに転じている。この点では、2015年以来見られる12月のFOMCを転機に上昇する金価格のパターンが、2020年にも表れる可能性が濃厚といえる。

以下、参考までに 3週間目に書いた原稿

https://ps.nikkei.co.jp/ose2020/special/07.html


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