亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

わずか4.3トン日本の金需要

2023年02月14日 20時40分42秒 | 金市場

週明け2月13日のNY金は3営業日続落で前週末比11.00ドル安の1863.50ドルで終了。これは1月5日以来5週間ぶりの安値水準となる。

ゲームチェンジャーとなったNFPショックの消化というより、本日発表の米1月の消費者物価指数(CPI)が加速、加速と事前予想がかまびすしいことから警戒して売られたもの。

ちなみに、NFPとは非農業部門就業者数(Non Farm Payroll、NFP)を意味する。

加速と言っても、総合指数は前年比6.2%増に前月の6.5%から鈍化する見込みとなっている。一方で、トレンドを見る前月比では総合、(変動の大きい食品・エネルギーを除いた)コア指数ともに0.4%上昇に加速するとの見立てで、前年比を重視するのか、足元の再加速を示すとみられる前月比を重視するのかで市場のスタンスは分かれている。いずれを重視するにしても予想値の上下双方の振れ幅に関心が集まっている。

 

インフレということでは、NY連銀が13日午前に公表した1月の消費者調査(1300世帯対象)では、1年先の期待インフレ率が4.95%(12月は4.99%)に小幅低下。それでも2021年7月以来の低水準となるもの。3年先の期待インフレ率は2.71%と、12月2.99%から一段と低下し2020年10月以来で最低となっていた。ただし、インフレの鎮静化を示唆するこうした指標も、労働市場の異例の強さに関心が向けられる中で、材料性は薄いのはやむ無しということか。

 

今週も数名のFRB高官の発言が予定されている。13日はボウマンFRB理事がフロリダ州(オーランド)で銀行協会の集まりで講演。「物価安定にはまだ程遠い」として、利上げにはコストとリスクが伴うが、景気悪化リスクよりもインフレへの対処を重視して利上げすべしとした。緩和にしても引き締めにしてもやり過ぎるのが、FRBのパターン。

 

今週は週末17日にラジオNIKKEIの朝の市況番組、岸田さんの「マーケット・プレス前場」に9時半過ぎから電話出演の予定。いつも前日夕刻に内容について考えるのだが、今週はいつもの金融環境主体の話に加え、思うところがあって需要がらみの話を加えようと少し調べて驚いた。

ゴールドの現物を欲しい人々や国家の存在が浮上しつつある感じだ。

ちなみにワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)発表で、22年の金需要(民間需要)はインドが774トンで前年比3%減、中国が789トンで前年比18%減と2大需要国ともに減少していた。ドイツは196トンで13%増、米国は256トンで3%減、ロシアは60トンで30%増。他に中東諸国が軒並み増えていたのは原油高の影響か。

参考までに22年の日本の需要は4.3トン。前年の15.6トンから73%減少したのは、円安で国内金価格が過去最高値を更新したことで(皆儲かって)売却が増えたことを表す。

日本の金需要は国の規模から考えて桁違いに少ないのは、金など持たなくともいい安定した国だったということだが、今や昔の物語と考えるか否かは個人差がある。

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