先週末、クリミアの住民投票を控えてNYの週末の反応を見るのみとしたが、6時間に及んだとされる米ロ外相会談に何ら進展はなく、金は1388ドル台まで買われ年初来高値を更新。その後、現地NYの昼前に10ドルほど急落となったのは、ロシアのラブロフ外相が記者会見でロシアはウクライナ東部を「侵略する計画はない」と言明したと伝えられ、それに反応したものと見られた。確かに表現からはロシアの軟化を思わせるが、これは言うまでもなく当初からのロシアが取っている“侵略ではなく、あくまでクリミア自治共和国の住民の要請を受けたもの”というスタンスを再確認したもの。
この辺りはクリミアに(実質的に)兵員を送り込み、ウクライナ国境付近で大規模演習を行いながら、「侵略の意思なし」と発言し兵を引き上げたプーチンの行動を見て(前日の急騰の後で)急落となった際の金市場の反応の焼き直しといえた。住民投票という民主主義的な手法を経た上で、要請を受け兵員を送りこんだとしてもロシアに何ら責められるいわれはない、という話。余談だが選挙で選ばれたのだから、民意を代表する(首長たる)我に議会が反対するのはおかしい・・・という言い草に似ていなくもない(もちろん異なる)。そもそも独立を認められていない自治体が国家としての意思を表明している部分が、手法は民主的でも前提に問題ありというわけだ。
ただしロシアはクリミア自治共和国を独立国家として扱い、事態に対応しているという建前。
さて住民投票は結局、実施されロシア編入の意思が示されるという大方の予想通りとなった。オバマ、プーチン電話会談が再び持たれたが平行線というのも予想通りということだろう。考えてみれば、両国首脳間にこうしたホットラインがあるのは冷戦期の学習効果でもある。
本日のアジアの時間帯のグローベックス初っ端で買いが入り1390ドル台に突っかけたのは、何ら打開の道なく事態が進展し複雑化しているゆえの反応。一般的には、ここでウクライナを材料にした上昇も第一幕の終盤ということだろう。この後、ロシアがどう出るか。ただし、FRB保管分の外国中銀の米国債が1000億ドルほど減っているという話が伝えられており、ロシアが制裁を先読みして移したのではと見られている。実際はどうなったか不明。このところ中国も昨年末から米国債を売っているという話もあり、この辺りがどんなことになるのか、かつての“有事”ではない債務が膨れ上がった状態ゆえに金融市場も(以前から指摘されてきたが)外交の材料ということだろう。つまり相場に新たな変数が登場する可能性がある。週末14日にGLD(SPDRゴールド・シェア)は6.6トン増加。
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