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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

200日移動平均線が位置する1300ドル維持の有無

2014年03月20日 22時48分13秒 | 金市場
ウクライナ問題を手掛かりにした金の上昇も、市場が目先の節目としたクリミアの住民投票でやはり一段落となった。ここ2~3日の金の下げは、目先の反応としては一般的なものといえる。ロシアのクリミアに対する「侵攻」と表現できる動きが逐次報道されているが、金融市場は特段の反応は見られず、むしろ底堅さを見せた。当初騒いだ割には、EU側のすばやい対応策というものも見られず、一部のロシア関係者の資産凍結という中途半端に映る対抗策のみ。その中で金市場ではここまでの上昇に対する益出し売りが断続的に続くことになった。ウクライナ問題については、クリミアの併合手続きは続けるもののウクライナ領内のその他の地域には展開の予定はないとのプーチン発言で、市場では当座の一巡感が出ている。結局、クリミア併合という市場が当座の“節目”としたイベントの終了で、それ以上のものが出ていないことでまさに材料出尽くしとの反応。

読めていないのは、今回のプーチンロシアの行動は、周到に準備されたもので1989年のベルリンの壁の崩壊から1994年にかけて出来た冷戦後の枠組みを壊すという意図を持ったものか否かということ。この辺りはヨーロッパでも国によっては反応に温度差があるようだ。G8の枠組みからロシアを外そうという動きが伝えられているが、“もともと入れてくれと頼んだ覚えはないぜ!!”というスタンスのように見える。このまま国際政治の構図が変わっていくように見えるので、今後は地政学的要因はますます無視できなくなりそうだ。つまり、これで一件落着とはならない。

さてイエレン議長の下での初のFOMCは、経済予測付き、すなわち記者会見付きのFOMCでもあった。まず声明文とともに示された経済見通しには金の売り要因が潜んでいた。もともと前回1月のFOMCにて、利上げが話題になっていたことはTaperingに着手したばかりという時期でもあり意外感はあった。

今回FOMCメンバーの見通しが示される中で、2015年の第4四半期の予想金利が前回より0.25%高い1.0%となったほか、2016年の第4四半期の予想は0.5%高い2.25%となったことが判明。以前よりタカ派的なスタンスに転じていることを思わせるものとなった。この段階で金は10ドル強売られることになった。その後のイエレン議長の記者会見では、政策金利について「(現状の水準を)相当の期間維持することが適切になると引き続き予想する」という「相当の期間(considerable time)」について記者が質問し、思わず「定義は難しいが6ヵ月とかそんなもの」と応答。量的緩和策はこのままいけば、年内に終了する見込みだが、そこから半年後となると来年半ばには金利の引き上げとなる(ゼロ金利解除)。こちらの方こそ、金売りの材料となりそうだったが、実際にはこの発言でNYダウが200ドル安まで一気に値下がりとなったことで、むしろ金は一時的ではあったが上昇で反応する局面も見られた。

昨年までならば、有無を言わさず売られたと思うが、200日移動平均線の上に位置し、当座はこのラインを維持できるか否かということになりそうだ。

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