亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金、昨年末終値過去最高値に対し売り先行の24年年始

2024年01月05日 15時48分25秒 | 金市場

年始の取引開始から3日目となる1月4日のNY金は反発した。NYコメックスの通常取引は前日比7.20ドル高の2050.00ドルで終了した。

昨年末にかけて市場では米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測の高まりの中で、米長期金利の指標10年債利回りが5カ月半ぶりの低水準(終値ベース3.793%)まで低下。12月27日にはダウ30種平均が最高値を更新する中で、NY金もドル安もあり終値ベースで過去最高値を更新、2093.10ドルで終了していた。

2024年に入って以降は、その反動とも表現できる米長期金利急反発の中で、両市場ともに売りが先行する流れとなっている。

株式市場では物色の中心となっていたアップルなどコア銘柄が売られる中で、年始2072.70ドルで取引を開始したNY金も、3日には前日比30.60ドル安の2042.80ドルと節目の2050ドル割れで取引を終えていた。

昨年末はFRBによる3月利下げ開始シナリオが米金利先物市場の見通し(フェドウォッチ)で一時90%を超えるなど、市場横断的に利下げを織り込んだ取引が進んでいた。ただし、年明け以降に発表されている米経済指標は、温度差があるものの総じて経済の堅調さを示すものが目立っており、債券市場は修正局面ともいえる値下がり(利回り上昇)が見られている。

 

4日は(給与計算など)民間雇用サービス会社ADPが23年12月の全米雇用報告(民間雇用)を発表。雇用者の伸びは市場予想の11万5000人増を上回る16万4000人増となった。また足元の雇用市場を映しやすい労働省発表の週次の新規失業保険申請件数は、1万8000件減の20万2000件となり、昨年10月中旬以来の低水準となった。

前日はNY金の通常取引終了後の14時にFRBが23年12月12~13日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を発表。政策金利(5.25~5.50%)が今回の引き締め局面での「ピークに達したか、近い」とみている半面、継続的なインフレの鈍化が確認できるまで「引き締め的な金融政策を維持することが適切」との見解が示された。市場ではタカ派寄りとの受け止め方がされ早期利下げ観測はやや後退。しかし、24年上半期の利下げ転換見通しを変更する内容ではないと受け止められた。

金市場に関しては、米金融政策の方向性以外にも一気に流動化した中東情勢など地政学リスクが、なお売買の手掛かりとなっている。24年始から伝えられるニュースには、紛争地域拡大を懸念させるものが含まれている。

 

なお、23年の取引最終日となった12月29日時点での貴金属年間パフォーマンスを挙げると、NY金は13.7%の上昇となった一方で、NY銀0.64%、NYプラチナ7.41%、NYパラジウム38.18%のそれぞれ値下がりとなった(ダウ・ジョーンズ調べ)。金と銀との間には、通貨的側面の強弱しかもかなりの違い、金とプラチナの間には主に通貨的側面の有無が価格差となって表れている。

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