12月27日のNY金は4営業日続伸となった。NYコメックスの通常取引は前日比23.30ドル高の2093.10ドルで終了。通常取引終値(清算値)ベースで12月1日に付けていた過去最高値2089.70ドルを超え再び最高値を更新した。
先週末22日に発表された11月の米個人消費支出(PCE)価格指数(PCEデフレーター)が前年同月比2.6%上昇と、2021年2月以来2年9カ月ぶりの低い伸びに鈍化したことを受けた、米長期金利とドルの低下が続きNY金の買い手掛かりとなっている。
27日の米金利先物市場(フェドウォッチ)では24年3月の利下げ確率が一時9割前後まで上昇するなど、利下げ観測が広がる中、指標となる10年債利回りは7月19日以来5カ月ぶりの低水準の3.797%で終了。一時は3.784%まで低下した。ドルも主要通貨に対し売られ、対ユーロでは4営業日続落で一時1.1122ドルとやはり約5カ月ぶりの安値を記録。ドル指数(DXY)は101ポイントを割れ100.986で終了。同じく5カ月ぶりの安値水準に。
こうしたなかでNY時間外のアジアからロンドン、さらにNY早朝にかけて2075~80ドルの狭いレンジ相場となっていたNY金だったが、長期金利とドル指数の低下に反応する形で午前中盤に水準を10ドルほど切り上げ2090ドル台に浮上。切り上げた水準を維持して昼過ぎには一時2095.80ドルまで買われたものの、さすがに高値圏ゆえにその後は売り優勢に転じた。それでも押し目は浅く2090ドル前後で推移し、時間外取引は2089.40ドルで終了した。
利上げサイクル終了から利下げへの早期の転換を織り込む市場に対し、米連邦準備理事会(FRB)高官は拙速な緩和転換はないとけん制発言を続ける。しかし、時間の経過とともに利上げ局面の終了は既成事実化し、利下げへのタイミングを先取りする動きが続いている。
主要な経済指標の発表のない中で、足元で生まれたトレンドが年末にかけて継続することが金市場でよく見られるのは経験則。残り2営業日もこの傾向が続きそうだが、どうなるか。静かなる上値追いの年末になるか否か。
なお、同じく早期の米利下げ観測と来年の需給改善を手掛かりにロンドン金属取引所(LME)の銅価格が約5カ月ぶりの高値で終了しており、銀やプラチナもこの流れの中で上昇。NYプラチナは27日1014.60ドルで終了。6月9日以来約7カ月ぶりに1000ドル台復帰ということに。ゴールドに対し多少の連動性はあるが、やはりゴールドとプラチナの違いは大きい。プラチナは23年は供給不足につき上昇という見通しを指摘する向きもいたが、需要の中身には投資需要の高まり予想など不確定要素も含まれており疑問だった。