飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
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死者の書の旅 その1(映画「死者の書」)

2006年07月19日 | 死者の書の旅
7月1日に下高井戸シネマで上映中の映画「死者の書」を鑑賞した。
折口信夫原作をアニメーション作家で人形美術家の川本喜八郎が
人形アニメーション映画として作り上げた作品である。
みごとな衣装と豊かな顔の表情をもった人形を細かいアニメーションで
、古代絵巻のような奈良時代の景観描写の中で生き生きと映像化した。

(あらすじ)
8世紀半ば、平城京藤原南家の姫、郎女は春の彼岸中日、一心に写経していた。
部屋から遠くに見える二上山の二つの峰の間に日が沈む瞬間に、
郎女は尊い俤(おもかげ)びとの姿を見て、千部写経を発願する。
1年後の彼岸中日に千部写経を写し終えると、雨の中を邸を出て二上山の麓の當麻寺にたどりつく。
寺の庵で物忌みすることになった郎女に、當麻の語部の老女から50年ほど前、
飛鳥の世に謀反の罪で処刑された大津皇子の話を聞かされる。
大津皇子の亡骸は二上山に葬られたが、郎女はその魂に呼ばれてこの當麻まで来たのだ、と老女は話す。
皇子は死の直前に一目見た女性、耳面刀自(みみものとじ)への執念から亡霊となってこの世に蘇った。皇子の霊に郎女が耳面刀自と映ったのである。
郎女のもとに、世更けて皇子の亡霊が現れるが、郎女には俤(おもかげ)びとと重なる。その寒々とした身体を覆う衣を作ろうと蓮の糸で布を織り始める。
ある日、當麻の語部の老女が現れ、壁代のようにつないで縫うように教える。
出来上がった織物に老女は俤(おもかげ)びとを描きなさい、と進める。
郎女は蓮糸の織物の上に筆で描き始める。俤(おもかげ)びとの姿、それは浄土曼荼羅の世界であった。周りにいた侍女たちも何時の間にか眠りに陥っている中、
完成した曼荼羅を振り返り、音もなく郎女はその場を立ち去った。・・・

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折口信夫の原作は不気味な怨霊を重々しく描いているが、
この映画では人形を使っているため人間くさいユーモラスさが漂うのを感じる。
怨霊が50年後の郎女に取り付いたというトンチンカンなユーモラスさが原作にあったのを再発見できたように思う。
死者の書に出てくる大津皇子の悲劇とは?大友家持と万葉集とは?
そして郎女の話は中将姫伝説をもとにしている。
中将姫・當麻寺・當麻曼荼羅へ、そして伝説・説話・絵巻・お伽草子へ。さらに近世・明治へと脈々と流れる中将姫を想う日本人の感性が宗教・文芸・娯楽分野でどのように発展してきたのか?。
以前より旅で撮り貯めていた関連する写真や資料があり、これらを整理しながら、
あらためて死者の書・万葉集・中将姫伝説を追ってみたくなった。全て自前の写真で。
まず原作「死者の書」をひも解くことから始めて、どこまでもつづく万葉と中将姫伝説の旅に出かけてみよう!。

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