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大口の 真神の原に 降る雪は
いたくな降りそ 家もあらなくに
=巻8-1636 舎人娘子=
「真神」はおおかみの異名で、口が大きいことから、「大口」という枕詞がついた。もともとこのあたりは、おおかみが出没した原野だったのだろう。
飛鳥から藤原に宮が移って、真神が原あたりには家もなく、一面の野原で、
しんしんと雪が降り積もる情景を歌っている。
真神が原は飛鳥寺の南に広がる野原で、中央に飛鳥川が流れ水田が広がる。
秋には水田土手一帯に彼岸花が咲き誇る。
飛鳥京が遷都して1300年間、おそらくこの自然豊かな風景が育まれてきたのであろう。しかしこの土地には大化の改新に代表される古代抗争により幾多の血が流されてきたのも事実で、その思いにふけりこの地を歩くと、あちこちに遺跡が見られ感懐を新たにするのである。
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