多胡(たご)の嶺(ね)に 寄綱(よせつな)延(は)へて 寄すれども
あにくやしづし その顔よきに
=巻14-3411 作者未詳=
(多胡の嶺に寄せ綱をかけて引き寄せるように)あの娘を靡かせようとしてもそ知らぬ顔をしている。その美しい顔で。という意味。
上野国(かみつけのくに)の相聞往来の歌。
「多胡(たご)の嶺(ね)」は群馬県吉井町の南西の山。
「寄綱(よせつな)」引き寄せる綱。
「延(は)へて」は、張ルの意味を持つ下二動詞、延(ハ)フの連用+接続助詞テ。
「寄すれども」は寄スの已然形寄スレ+接続助詞ドモで、引キ寄セタケレドモ。
「あにくやしづし」は不詳も、ソシラヌフリヲシテをとった。
「よきに」は、ヨシの連体形+接続助詞ニ。このニは、文脈により、順接・逆接等さまざまな用法がある。
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この万葉歌碑は群馬県高崎市吉井町馬庭226 飯玉(いいだま)神社に建っている。
飯玉神社は上信電鉄上信線馬庭駅の西80mにある。
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