飛鳥への旅

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中将姫説話コレクション3:「当麻曼荼羅捜玄疏図本」

2009年10月12日 | 中将姫伝説を訪ねて
 「当麻曼荼羅捜玄疏図本」(たいままんだら そうげんそ ずほん)、安永3年(1774)の刊本。
伊勢天然寺の震誉大順が明和7年(1770)に著した当麻曼荼羅の註釈本として「当麻曼荼羅捜玄疏」七巻が浄土宗で権威書とされ、版を重ねており、より普及のために当麻曼荼羅をわかりやすく図解した「当麻曼荼羅捜玄疏図本」を出した。
各地に広まった当麻曼荼羅絵解きの貴重な参考書になり、また浄土宗関係者に読まれ尊重されていたかがわかる。
 この私蔵本には熱心な読者自ら書かれた注釈が細かく几帳面に記述されている。いつの頃の注釈かは不明だが、この図本を繰り返し繰り返し熟読して絵解きを行なっていたことが想像できる。

表紙                                安永3年と記してある前書き


中央六重楼観


観音・勢至菩薩
丁寧な注釈の書き込みがされているのがわかる。


九品(きゅうほん)について記されている。
九品は『観経』に説く九つの階位。阿弥陀仏の浄土へ往生を願う衆生を、修めるべき行法(ぎょうぼう)の程度によって九種に分類したものとされる。


上品上生(じょうぼんじょうしょう)。
至誠心、深心、廻向発願心の3種の心を発して往生する者。
これには3種類の者がいるという。
慈心をもって殺生を行わず戒律行を具足する者
大乗方等経典を読誦する者
六念処を修行する者
その功徳により阿弥陀如来の浄土に生じることを願えば、1日もしくは7日で往生できるという。この人は勇猛精進をもち、臨終に阿弥陀や諸菩薩の来迎を観じ、金剛台に載り浄土へ往生し、即座に無生法忍を悟るという。


下品下生(げぼんげしょう)。
五逆罪・十悪を所作し、不善を行って地獄に堕すべき者。
臨終の時に善知識に遇い、仏の微妙なる法を聞いて、仏を念じようとしても、苦しみに喘ぎ念じることができない、ただただ十念を心から具足して阿弥陀の名号を唱える(称名念仏)と、念々に80億劫の生死の罪業を滅除し、金の蓮華を見て往生することができ、12大劫を経て蓮華が開敷し、観音や勢至の説法を聞いて、無上の菩提心を起すという。


白雉、鸚鵡(オウム)、迦陵頻伽(かりょうびんが)

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