伊香保風 吹く日吹かぬ日 ありといえど
吾が恋のみし 時無かりけり
=巻14-3422 作者未詳=
伊香保から吹いてくる風さえ吹いて来る日もあれば、吹かぬ日もあります。でも私があなたを想う気持ちは四六時中、絶えることはありません。という意味。
「伊香保風」とは現在の赤城颪、榛名颪の空っ風のことで、上州名物空っ風は昔も吹いていたのである。「時無かりけり」は、いつと定まった時がないよ、の意。
東歌にしては方言もなく非常にわかり易い歌である。風と恋との対比が一途でおおらかさを感じさせる。
この万葉歌碑は、伊香保温泉の石段街下に置かれている。
石段街は伊香保温泉のシンボルで、石畳に与謝野晶子の詩が刻されている。
「伊香保の街」 大正4年 与謝野晶子
榛名山の一角に、段また段を成して、
羅馬時代の野外劇場の如く、
斜めに刻み附けられた 桟敷形の伊香保の街、
屋根の上に屋根、部屋の上に部屋、
すべてが温泉宿である、そして榛の若葉の光が
柔かい緑で 街全體を濡らしてゐる。
街を縦に貫く本道は 雑多の店に縁どられて、
長い長い石の階段を作り、伊香保神社の前にまで、
Hの字を無数に積み上げて、
殊更に建築家と繪師とを喜ばせる。
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