春日(かすが)なる 三笠の山に 月の舟出(い)づ
風流士(みやびを)の 飲む酒坏(さかづき)に 影に見えつつ
=巻7-1295 作者未詳=
春日の三笠の山に、船のような月が出た。風流な人たちが飲む酒杯の中に映り見えながら。という意味。
七夕の夜の宴で詠まれた歌と見る説があり、この月の船を漕ぐ月人壮士は、七夕の夜に彦星を乗せて天の川を渡す、渡し守であろうとしている。
いずれにしろ風流心をくすぐる歌であるといえる。
三笠の山は万葉以降も歌に読まれ、有名な
「天の原ふりさけ見れば 春日なる三笠の山に出でし月かも」(安倍仲麿・古今集406)
は百人一首の中に採用されている。
万葉歌碑は明日香の万葉文化館の庭に置かれている。
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