哭沢(なききは)の 神社(もり)に神酒(みわ)据ゑ 祈れども
我が大君は 高日(たかひ)知らしぬ
=巻2-202 檜隈女王=
哭沢の神社に神酒を供えて皇子がこの世に止まれるように祈ったけれども、皇子は天に昇ってしまった。という意味。
「高日(たかひ)知らす」とは、《天上を治める意から》天皇・皇族など高貴の人が死去することをいう。
高市皇子の病の快癒のため哭沢神社に神酒を手向け祈った檜隈女王であったが、その甲斐なく皇子はお亡くなりになったと歎いて歌った歌。
万葉歌碑は橿原市木之本町の畝尾都多本(うねびつたもと)神社の境内にある。
哭沢の神社は畝尾都多本神社のこと。祭神は「啼沢女神」。
神社の由緒によると、「伊耶那美神が火之神を出産したときに亡くなられたので、伊耶那岐命は悲しまれ、伊耶那美神の枕元に腹這いになったり、足元に腹這いになって大声で泣いた。その時に流れた涙から生まれた神が香具山の畝尾にある木のもとに坐す泣沢女と呼ばれる神だ。」と記されている。
伊耶那岐命が腹這いになりながら泣くというのは、葬送で行われる、死者を復活させる呪術的な儀礼、哭礼の起源とされている。
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