それでも僕はテレビを見る

社会‐人間‐テレビ‐間主観的構造

フジテレビ「今日、ちょっと紹介したい人がいるんです。」:大宮エリーの力です

2015-04-03 00:31:52 | テレビとラジオ
「今日、ちょっと紹介したい人がいるんです。」という番組の大宮エリーのパートが興味深かった。

この番組では、大宮エリーが友人の柴咲コウに、これまた友人の板尾創路を紹介した。

いわゆる鼎談番組である。

このタイプの番組として代表的なのが「ボクらの時代」だ。

それと一体どう違うのか、と聞かれると少し弱い。



あえて言えば、友人に友人を紹介する、というその緊張感がこの番組のウリだった。

友人に別の友人を紹介するのは難しい。

自分の友人だからといって、それぞれの相性が良いかどうかわからない。

だからこそ、初対面の友人同士の緊張感が面白い。

そして、そこで生まれる未知の化学反応は、予定調和にはなりえない。



この番組はコンセプトそれ自体が優れていたというよりは、大宮エリーを選んだこと、つまり人選が素晴らしかった。

大宮エリーは多彩な人で、作家/脚本家/映画監督/演出家/CMディレクター/CMプランナーの肩書を持つ。

頭が切れるだけでなく、ユーモアと豊かな感性が光る、非常に魅力的なクリエーターである。

彼女は社交的に見えるときもあるが、内向的に見えるときもある。

知り合いがとても多いイメージだが(実際、彼女が司会の音楽番組ではそのネットワークがいかんなく発揮された)、人見知りのようにも見える。

彼女の陰影は独特だ。



その彼女の友人が柴咲コウ、というのがとても面白い。

そして、大宮と柴咲のやりとりが非常に魅力的だった。

ふたりはそれぞれモノを作る意識を強く持っている。

それぞれの熱量やアプローチの違いが会話のなかで見えてくる。

お互いを尊敬し、モノづくりに真剣なふたりの表情や言葉は、すごく誠実でなんだか嬉しくなってしまう。



そこに登場する板尾創路がまた凄い。

大宮エリーとの出会い、はじめて一緒に食事した話、いずれも板尾の凄さを見事に示す面白いエピソード。

とにかく、板尾のクールさと優しさ、そして知的な佇まいが大宮と柴咲の空気と上手く溶け合っていく。

この3人がひとつのテーブルについて創りだす空気の不思議。

大宮エリーの才能がそこに沁み出ている。



大宮エリーを通じて、誰かの魅力が見えてくる番組と言えば、「アーティスト」という音楽番組があった。

終わってしまったのがとても残念な番組だった。

大宮エリーの魅力が存分に発揮される番組がもう一度見たいものだ。