CREA WEB 2019.11.09
大平美智子(おおひらみちこ)
イタリア専門コーディネーター&ライター
美術大学卒業後、グラフィックデザイナーを経て渡伊。四半世紀過ぎた今でもイタリア文化への心酔は変わらず美術、美食、イタリア流ホリスティックライフをテーマに雑誌、テレビなど各媒体でイタリア情報発信中。
インターネットの普及で世界は急速に、身近に感じられるようになりました。
毎日ニュースや情報で多くを知る機会に恵まれていますが、知っていることの裏に私たちの知らない「事件」や「変化」が起きています。
イタリアはルネサンスの発祥の地である美しい古都、フィレンツェ。
そこで仕事をしながら子育てする大平美智子さんが「ある少女」によって、変わってしまったご自身の暮らしをリポートします。
環境保護のジャンヌ・ダルクが叫ぶ あなたたちを許さない!
2019年9月23日、ニューヨークの国連本部で開かれた気候行動サミットで、各国の首脳を相手に怒りのスピーチで世界をうならせた16歳のスウェーデン環境保護活動家グレタ・トゥーンベリ。
8歳のときに地球が病んでいることに心痛めたグレタは、12歳から一人で気候変動対策を訴え続け、16歳でもうひとつのノーベル賞と称されるスウェーデンの「ライト・ライブリフッド賞」を受賞。
2019年10月にはノーベル平和賞の候補にも挙がりました。
議会や政治家に対する率直で熱のこもったスピーチが、若者を中心に広く知られています。
地球温暖化への早急な対策を訴える高校生のグレタの声は、今、世界中に社会変動を起こし始めています。
とりわけ敏感に共鳴しているのがヨーロッパのティーンたち。
グレタは「学校で勉強するより、今は行動の時!」とTwitterなどのSNSで発信し、授業をボイコットして気候変動対策を訴えるストライキ「未来のための金曜日」への参加を呼びかけ続けています。
フィレンツェでも 学生たちが立ち上がる!
2019年9月27日にはヨーロッパで今年3回目のストが行われ、イタリアだけでも180都市、約100万人の中高生が各自お手製のプラカードを持って街を練り歩きました。
今回は、なんとイタリア教育省のフィオラモンティ大臣からも「ストに参加しても学校は出席扱い」との通知が諸機関に通達され、最初は懐疑的だった保護者や教員なども参加して、もはや前代未聞の社会現象に発展しているのです。
多くの名画を擁するサンタ・マリア・ノヴェッラ教会前。その広場に9時に集合し、共和国広場から大聖堂、サン・マルコ広場というコースをゆっくりと大行進。中高生を中心にたくさんの市民がストに参加、なかには教師や園児連れ親子の姿も。
「もう時間がないの、助けなきゃ!」などお手製プラカードを持って練り歩くティーンたち。グレタや各政府機関などから「くれぐれも慎重に、お行儀よく行動すること」という指南メッセージを守り、みな和気あいあいで穏やかなストに。
今や環境保護活動のカリスマ、グレタ。
彼女のスピーチの定番「私たちはあなたたちから目を離さない」というメッセージが、まず思春期の少年少女の胸深くに刺さり「現状の二酸化炭素への対策では2030年に世界は壊滅状態になる」というICCP(国連機構変動に関する政府間パネル)による科学統計予測をグレタとともに支持するティーンたちは、さらなる切迫感を持って生きているのです。
では今、グレタピープルは具体的に何をしたら良いのか?
まず心がけるべきはエコフレンドリーな生活。
ここ南欧の呑気なイタリアのティーンたちだって、真剣です。
かくいう我が家の15歳の娘も、もれなくエコ少女に変身! 外出時には水筒にエコバッグ必携、旅行にはマイコップ&ストローグレタ、カトラリーまで持参します。
グレタとも仲良しのフランシスコ教皇も9月、プラスティックによる海洋汚染を回避するよう協力しましょう、とTVや各メディアを通して世界に呼びかけました。
まさにプラスティックフリーこそ、今どきエコの至上命題。
しかし普通の家庭の主婦には、これが一番やっかいな問題です。
プラスティック素材の製品は、一般生活者の日常に姿形を変え、毛細血管のようにあらゆる箇所に入り込んでいて、私たちは無意識のうちにプラスティック製品を消費しているからです。
イタリアの場合、家庭の飲料水はペットボトル入りのミネラルウォーターが一般的です。
スーパーで売られている食品はプラスティックや発泡スチロール包装され、それがどれも大きくかさばるものばかり。
液体洗剤の容器もガッツリ大きいものが多く、使い捨て食器類の充実ぶりも相当なもの。
毎日のプラスティックゴミの量は半端ではありません。
ここは軽薄短小な良品よりも、まだまだ見た目のお得感が優先な市場。
南イタリアの一部のエリアでは夏場、水不足で食器が洗えず、場合によっては使い捨て皿やコップをひと夏使い続けなければならないという、やむを得ぬ環境があるのです。
我が家では、子から「親への厳しい指導」が毎日続きます。
昨日もスーパーで買い物して帰宅すると、娘がエコバッグの中身をチェックして仁王立ち。
「ママ、バナナはパック入り以外なかったの?」と詰問され、
「オーガニックものはパック入りしかなかったの」とたじろぐ母。
「じゃあ、そのスーパーには行かないで」
「…………」
家から一番近いお店だから困ります。
食品用ラップで包まれたものや、パック入りの惣菜類も却下。そうなると一般のスーパーでは買えるものがほとんどないお手上げ状態です。
ごみがゼロのスーパーなど、イタリアには全くもってよその国のお話……。
果たしてこんな微細な活動で地球環境は好転するのか、と短慮な母はだんだん投げやりな気持ちに。
「ママは私たちの未来はどうでもいいんだね」
と睨まれるたびに、大人の地球人として「日常、できるところから始める」しかないと、自分に言い聞かせる毎日です。
後日、ほかのスーパーでお買い物。量り売りの野菜や果物、丸ごとチーズに瓶入りヨーグルト、たんぱく質の豆類も忘れずに。吟味してお買い物してもプラスティックを避けるのは至難の業。
ちなみに娘主導の"地球を守る十戒"はご覧の通り。
1. プラスティック製品でないものを買う
2. プラスティックゴミの少ないものを選ぶ
3. 動物性タンパク質は買わない。外食しても週1回まで
4. 合成液体洗剤やソープ類はNG。固形石鹸、エコ洗剤の量り売りはOK
5. 外出時は水筒必携。場合によりストロー、コップ、カトラリーも持参
6. 長く使える良品を選ぶ。ユーズドも活用
7. ファストフードやファストファッションは買わない
8. 使い捨てグッズは買わない
9. 節エネルギーを心がける
10. 低エネルギーな交通手段を選ぶ
これはモノや暮らしを大切にしていた私たちの親の時代、半世紀前ごろを想像すれば良いのかしら。
「人間の便利さ」から「地球の健康優先」をする生活への道のり、これいかに……。
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ブルーインパルスに12万5千人が歓声 航空機の展示やコックピットも公開、空自・入間基地で航空祭
埼玉新聞 11/4(月)
多くの来場者でにぎわった入間航空祭=3日午後、狭山市稲荷山の入間基地
白煙を上げながら飛行するブルーインパルス=3日午後、狭山市稲荷山の入間基地
埼玉県狭山市稲荷山の航空自衛隊入間基地で3日、恒例の航空祭が行われた。あいにくの曇り空となったが、松島基地(宮城県東松島市)所属の飛行チーム「ブルーインパルス」の展示飛行などが行われ、訪れた約12万5千人(同基地発表)の航空ファンから大きな歓声や拍手が送られていた。
ブルーインパルスは6機編隊で後方から白煙を吹き上げながら飛行。6機が至近距離で編隊を組んで飛行する様子をカメラやスマートフォンで収めようとする観客の姿が見られた。
一般開放された基地内では、各種航空機やヘリコプターの展示、航空機のコックピット公開、陸自空挺部隊による輸送機からのパラシュート降下などが披露された。
所沢市から家族で訪れていた小学4年生の新井日王那君(9)は「ブルーインパルスは速くて格好良かった。曇りで残念だったけど、来年もまた見に来たい」と笑顔で話していた。