ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

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486回田辺寄席~めずらしい噺

2009-02-21 21:47:56 | 田辺寄席
・・・・・・・・・・・・・青少年センターの裏庭の桃ヶ池・・・・・・・・・・・・



金曜日に、半年間、18席聴ける、通し券が届く。
折角の、落語の神さんからの授かりもの、使わなければと、
土曜日は、昼席と夜席の、連ちゃんを予定。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日差しがあり、寒い中にも、春が近づいている穏やかな休日。
米朝一門の底力か、お目当の方がおられるのか、170名の大入。

開口0番・・・・・・・「ほ」・・・・・・「奉公」・・・桂文太

落語に出てくる登場人物は、まずは「喜六」、「清八」。
ボケとツッコミ。喜六のおもしろさ=上方落語のおもしろさか。

もうひとり加わる時は、「源兵衛」、
「源やん」、「源兵衛はん」、「源兵衛さん」とキャラクターの幅はある

世話好きで、物知りなのが、「甚兵衛」さん。
長屋のおかみさんで、ようできた方が「お咲き」さん。
しやべりでしっかりものが「お松」さん。
若ぼんは、「作次郎」と。

今日の、「奉公人」でお決まりが、
丁稚では、「定吉」、「米吉」、「亀吉」、「つね吉」
その上の、「太七」、「つね七」、「とう七」
手代になると、「杢兵衛」、「冶兵衛」
女子衆は、「お清」、「おもよ」、「お竹」、不細工なのが「おなべ」。

まあ、上手くできてますな。
大枠のキャラクターはありますが、
噺によって、各人の個性は微妙に違う。


一、桂雀太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「延陽伯」

商売道具と言えば、大工さんは、「大工道具」があるように
噺家にとっては、「扇子」、「手拭」以上に大事なのが「言葉」。
日頃から気を使っておるのですが。

大阪弁は、日本橋を「にっぽんばし」と鉄ちりを「てっちり」と
「っ」とつまるのが、特徴。
究極が、「エッチオピアで、さんぱっちゃや(散髪)、は
げっちょうび(月曜日)で休みやったと。
言葉にまつわった、マクラから「延陽伯」ヘ。

後半の、翌朝起きてからのところは無いが、
結婚が決まってからの、風呂に行くまでの、
妄想シーンは、おもしろい。

自由に組替え、喜六の脳天気さが一杯の楽しいの話になっている
怖いもの知らずの若さと勢いの良さが、
前面にでた雀太さんの「延陽伯」でおました。


二、桂紅雀・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「がまの油」

良いな、最初の立て弁の口上の部分と
酒を呑んでからの、うまく喋れないところのGAP。

基礎ができている芸人さんの、動きは
オーバーアクション気味でも、無駄が無くてきれい。

でも、このがまの油、師匠の枝雀さんと言うより、
雀々さんの匂いが強い。・・でも紅雀さんの「がまの油」オハコですな。


三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「文六豆腐」から

江戸落語の「文七元結」の上方版。文太さんの言う贋作の部類か。
噺は、娘を新町ヘ沈めて作った、50両を、
お金を落として身投げしようとしている若者、文六に
散々、迷った挙句、あげてしまう。

その葛藤、俺がいなくなったあとにすぐ誰か来ないかな。
半分の25両では、なんとかならいのか。
お前が、死ぬって言うから、くれてやるんだ。と
50両のお金を、ぶつけて去って行く。

まあ、後半は、お金が見つかって、旦那の粋な計らいで
娘も身請けされ、文六と夫婦になり、豆腐屋として繁昌し、
ハッピィエンド、めでたし、めでたしですが。

もし、お金が出てこなければ、家族の幸せを後回しにした
単なる、ええかっこしいの博打打ちの悲劇になりますな。

日頃、人間として、善いとは思っていても
実行出来ない事が多いだけに、文六の葛藤が痛々しいぐらい
悲しくもあり、また笑える。

滑稽噺はなりたく無い自分、
人情噺はなりたい自分の物語か。

文太師匠の人情噺・・・
人の優しさとは何かを、考えさす良きお手本ですな。


四、桂団朝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「魚の狂句」

まあ、米朝全集の第一巻の161ページに載っていますが、
誰もやりません。・・・まあおもしろくありませんし、
こんなもんかいという程度の話です。
そんなに、期待せんといて下さいと・・何度も断り入れながら・・。

狂句とは、滑稽な俳句、川柳のこと。

新町ヘ、女を買いに行くのをあからさまに言うのを
俳句に置換えて言えよと。

新町なら鯛になぞらえて、・・・・なら初鰹。
松島なら鯉。・・飛田ならぼら。と言うようにと。

なにぶんそういう処に疎いもんで、場所と魚の名は確かで無し。

最後の「へえおまえ鰹節が気に入ったんかいな」
「へえ、これでダシにしまんねん」と終ってから。

現代バージョン、ソープ譲は蟹の泡とか、
キャバクラ譲のイカの漁火とか、素人の・・・・など。
多彩に演出。・・・・団朝さんの日頃の成果、本領発揮か。

次の機会は、もっと書けるよう、真剣に聴きます。
まあ、そんなネタでもありませんが
でも、おもしろかったでっせ。団朝さん。


五、桂雀松・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「小倉船」

これもまた、初めての出合い。

小倉から下関ヘ渡る大きな船の中の話。

財布を落としたので、フラスコというガラスでできた瓶に
入って海中へ、ひびが入って更に海底へ・・・。
気がつくと、そこは龍宮城、・・・これが「竜宮界竜の都」か
そこでは、本物の浦島太郎と魚の役人らとの戦いぶり、
歌舞伎仕立てで、内容はファンタスチックだが、
踊りの素養なくては、おいそれと演じられる代物では無い。

ただ、「ショウジョウにはよう乗りまへんな」に続く
サゲの「酒手が高こつく」はようわかりまへなんだ。

雀松さん、汗をたっぷりかいての大熱演。お疲れ様でした。
ほんま、良い出し物を聴かせてもらい、感激でおます。

何度も言いますが、田辺寄席は上方落語の辞典ですな。



第486回・田辺寄席
2009年2月21日(土)午後1:30開演
市立阿倍野青年センター

一、桂雀太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「延陽伯」
二、桂紅雀・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「がまの油」
三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「文六豆腐」から
仲入り
四、桂団朝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「魚の狂句」
五、桂雀松・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「小倉船」

09-12-47
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