例えばアメリカに行くことを渡米、住んでいることを在米と言いますよね。
フランスだと渡仏、在仏。
じゃあシンガポールはどう表現するのかと言いますと、渡星、在星と言うそうですよ。
その理由は、シンガポールを中国語で書くと「新加坡」なのですが、
「新」と「星」が同じ音だからとか、北京語では「新加坡」だけど、広東語では「星加坡」だからだとか。
星へ渡るって、なんかカッコよくないですか。
星に住む…なんかカッコいい。
とにかく私も星に住んでいるようで、先週金曜日、渡星してから初めてランニングをしました。
星に来る前、最後にまともに走ったのが3月のハーフマラソン。
そのときも1ヵ月くらい間があいていたのですが、今回はそれ以上。
3月のときも、後半は足がつってつって、話にならなかったので、
この星の暑さだと10キロも走れないだろうと、ぼちぼち慣らすことにしました。
ここで走るとしたら、朝か夕方が賢明かと思うのですが、夕方走る方を選びました。
なぜなら、この星、朝走るには夜明けが遅いんです。
7時にやっと明るくなるくらい。
日本の夏は夜明けが早いから、常夏のこの国もそうだと思ってたのに、意外。
夜明けが早かった記憶があるタイやベトナムと同じ南国系だと思ったのに、意外。
朝走るとなると、タイミングは相方の出勤前になるのですが、それだと真っ暗。
彼を送り出して朝の家事をすませると、すでに暑くなっています。
夕方はというと6時を過ぎても明るいです。
気温を考えると午後6時半くらいが走りやすそう。
相方からは、そこそこ広くて安全なマンション敷地内を走ることを勧められていたのですが、
私としては、せっかくだから近隣探索もかねて、もうすこし大きくコース取りしたい。
このあたりの地理を説明すると、
マンションは9棟あって、裏門を出て500mほど離れたところに直径2kmくらいの細長い湖があります。
そこには島がふたつあって、
近いほうがチャイニーズガーデンという庭園になっていてタダで入れるようなので(←ココ重要)、
そのあたりを走ることにしました。
【チャイニーズガーデン遠景~中央にうさん臭い塔~】
ちなみに、遠いほうはジャパニーズガーデンです。
マンションからその姿は見えないのですが、こちらも相当うさん臭そう。
午後6時半、いざマンションを飛び出したのはいいのですが、
治安がいいとはいえ外国ですし、日が暮れて暗くなるタイミングもいまひとつわからない。
それに相当な方向音痴の私が、このあたりの地理にもまだ疎く、距離感もつかめていないのに無事に戻れるものか。
万一何かあっても、出張中でこの星にいない(←こう書くとおおげさ)相方は助けてくれないし。
細々した不安を感じながら裏門に向かって走っていると、
ちょうど門を出たところで、ひとりのアジア系の男性に追い抜かれました。
お?
ランニングスタイル。
追い抜かれた場所からして、同じマンションの住人に違いありません。
そして、湖のほうに向かっています。
これぞ渡りに船、後をついていくことにしました。
でも、黙って後をつけるのも失礼だし、何より不審だと思うので、
事情を説明して了承をもらおうと思い、話しかけてみました。
アワワワ英語で。
すると、「日本語でいいですよ」と。
日本人でした。
結局、親切なその方は私にスピードをあわせてずっと一緒に走ってくださり、
ここでのランニングについて、色々アドバイスしてくださいました。
私ってどこにいてもひとの出会いに恵まれているなあ。
私が夕方走りたいことを話すと、
日没はだいたい7時で、このコースは街灯も少なく、人通りも少ないところがあるので、
暗くなるまでにそこを抜け出られるように考えて走る方がいい、とかね。
その日走ったコースでおよそ6kmだそうです。
もっと走るつもりでいたのですが、運動不足のうえ、この暑さです。
息が上がるのも早い、早い。
その方も私にあわせて切り上げてくださいました。
そうそう、その方が夜明けが遅いことについても教えてくださいました。
「時差の取り方に無理があるんですよ。
シンガポールより東にあるジャカルタが日本との時差、2時間ですよ。
ここも時差2時間でいいはずなんです。
政策的な意図があるんでしょうね。
香港と同じ時間にマーケットをオープンしたいという。
夜明けが7時で日没も7時、覚えやすいですがね」
へえええ。
勉強になりました。
調べてみると、確かに経度の近い近隣諸国、
インドネシア、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジアはみんな日本との時差が2時間なんですよね。
マレーシアとシンガポールだけが時差1時間。
時差2時間組のうち、首都がシンガポールより西にある、
つまりシンガポールより実際の日の出が遅いのは、タイとラオスだけです。
そら、シンガポール、夜明けが遅いはずだわ~。
時差って単に地理的な要因だけでなくて、ビジネスのことも考えて決められるんですね。
さすが世界の金融センター、シンガポール。