シンガポールへ来たのは今回が初めてだったので、
殺風景なビル群を想像していたこともあり、その緑の多さ、街の美しさに驚きました。
街路樹の大木さ加減が半端じゃなく、花壇や生垣などあちこちに南国の花が咲き乱れています。
道端にゴミが落ちていることもあまりない。
人の手による管理が行き届いていることを感じさせるその様子は、
この国がガーデンシティと呼ばれる(呼ばせる?)ことを納得させるに十分でした。
「全然、発展途上国じゃないじゃん」、
空港からマンションへ向かう車中で、迎えに来てくれた相方につぶやくと、
「途上国じゃないよ。ひとりあたりのGDPなんて、日本より上だよ」と。
えっ?
みなさま、ご存知でした?
いつの間に日本はアジアナンバーワンじゃなくなっていたの?
中国が去年、GDPで日本を抜いたってことは、
話題になったし、ニュースでも頻繁に取り上げられていました。
でも、そのときも、
「そんなに騒ぐほどのことかいな?
だって中国なんて、人口比で考えたら、日本の10倍以上やん。
それがあの勢いなんだから、抜かれるのなんて時間の問題やったやん。
ひとりあたりGDPだと日本の10分の1くらいっていうし、
まだまだ豊かさ加減で比べたら日本の比とちゃうちゃう」
と、なぜかあぐらをかいた気分でいた私。
なぜか日本を代表した気になって、
アジアナンバーワンの座はまだゆらいでいない、とか鼻を高くしていたわけです。
調べてみると、2010年比較のひとりあたりGDPでは、
日本が16位(US$42,820)、シンガポールは15位(US$43,116)でした。
う~ん、僅差の負け!
(しかも両国とも、余裕のベストテン外。低レベルな争い?)
GDP順位に注目が集まっている影で、ひそかにそんな交代劇も行われていたのか。
してやられたぜ、シンガポール。
ASEANやNIEsのひと盛りいくら的なところにいたもんだから、すっかりあなどっていたよ。
そう思っていたら、
このランキングでシンガポールが日本より上位となったのは、去年が初めてではありませんでした。
いつの間に!?
そのとき、世間では大きく取り上げられていたのでしょうか?
まったく世間の話題から取り残されていた私。
日本の凋落ぶりは、私の想像以上に進んでいるようです。
「Japan as No.1」とかいう著書が一世を風靡し、日本が隆盛を極めたのはもう遠い昔なのですね。
【日本人を勇気付けた(いい気にさせた)"Japan as No.1" (これは79年版の復刻版)】
少子高齢化がものすごい勢いで進んでいて、なのに、女性の社会進出もどうも中途半端で、
そのうえ外国人や外国資本の受入れにも及び腰、さらに若者は内向き志向
…とくれば、当然の結果なのでしょうか。
この国の未来を考えて、ひとり勝手に淋しくなる私でした。
ニートたる私に、どうのこうのいう資格はないのですが。
さて、淋しくなるといえば、今日から週末まで相方はタイ出張です。
ちなみに彼、来週は、中国は広州出張、その次はマレーシアとインドネシア、と出張てんこ盛り。
出張三昧は来月以降も続くようで、私はほとんどひとり暮らしです。
そんな淋しい私を気遣ってか、小さなお客さまがいらっしゃいました。
【不法侵入のトカゲさん】
掃除機をかけていて、床にいる彼の存在に気付いたのですが、
先方も私に気付いて気恥ずかしくなったのか、そそくさと退却なさいました。
ちょっと待って!
こんなピンボケじゃないちゃんとした写真をもう一度撮らせて!
あわててお引き留めしたのですが、
自身の尾っぽを残して、玄関のドア下のスキマから駆け足で去ってゆかれました。
おくゆかしい。
このマンションで彼らに遭遇するのはこれで3度め。
ここは20階の高層で、しかも私はこう見えて毎日のゴミ出しだけは決してサボらないというのに、
どこから何の目的でここへやって来て、何を食べて生きているのでしょう?
彼らの生態に謎が深まります。
今日の来客は3匹の中でもいちばん小さかったのですが、
どなたも日本のトカゲと比べると相対的に小さくて、乾燥気味の肌はぬらぬら光ることもありません。
だいたい壁か床の何もないところにいらして、音も立てずに静かに移動なさり、
何かを狩っていたり、食べていたということもないので、まったく怖くありません。
何と比較して怖くないかというと、あれですよ、あれ。
ゴキ○リ。
この私が毎日のゴミ出しだけは怠らないのは、彼らに出会わないようにするためです。
そのために、食器や調理器具は使ったらすぐに洗うし(あたり前?)、
野菜や果物、封のあいた食べものを外に出しておくことも一切していません。
その甲斐あってか、いまだここでは出会ってません。
うれしいなあ。
いい国だなあ、シンガポール。
上海ではそこまでやっていても、時々見かけ、しかも時に複数だったので、ぞっとしたものです。
あの国で私がいたマンションでは、どれだけがんばって清潔に保っても、
玄関ドアの隙間や排水溝からやってくるみたいなので、侵入を防ぐのは難しかったわけです。
中国のゴキ○リなんて、さぞや大きくて、小ざかしく動くんだろうなあ、
そう思うでしょ?
でも、かの地のゴキ○リは、意外にも小さくておっとりしているんですよ。
日本のとの違いに、最初、何か別の昆虫かと思いました。
見かけは小指の爪くらいのサイズで薄い茶色、
動きもどこかのんびりしていて、コーナーめがけてカサカサ走ったり、いきなり飛んだりしないんです。
サイズはともかく、あの特有の動きをしないのが不思議でした。
彼らは、観光客が利用しないような食堂だと、壁にも床にもテーブルにもいっぱいいらっしゃいます。
でも、私が見る限り、追いかけたり、やっつけたりする人はいなかったです。
広い大陸で、あまり迫害されることなく、のんびり暮らしていけるので、
カサカサ走りの習性がないのだと推測します。
そういうわけで、自分のマンションで出会うゴキ○リも、日本のほど怖くなかったです。
日本より中国のほうがいい点をあげると、あれが怖くないことをランキングしますね。
しょうもないランキングで恐縮ですが。
存在そのものが不潔で嫌悪感を持ってしまうところは変わりないです。
何より、数が圧倒的に多そうですから。