「小さなホテル セラヴィ」は「長瀞オートキャンプ場」の敷地の中にあります。聖神社から県道を北上すると、必ず気付くこの看板が目印。
長瀞オートキャンプ場のゲートを入って行って、「セラヴィはこちら」的な案内板に導かれて到着です。
(オートキャンプ場の中と言っても広大な敷地なので、セラヴィ滞在中、キャンプ場からの声は全く聞こえず。風の音と鳥の鳴き声だけの森の中という静寂さでした。)
駐車場は建物のすぐ近く。全5室ですので、駐車スペースも小ぢんまりしています。
(「PARKING」のアイアンサインがいい雰囲気。)
こちらが「小さなホテル セラヴィ」のエントランスです。
(いい宿はその前に立っただけで分かります。1980年からこの地に佇んで43年。時間の経過が醸し出す伝統を感じます。)
宿の名前「C'est La Vie.」(フランス語)の意味と主人の想いが、部屋に置かれた冊子に書かれていました。
(悲しい時に「それもまた人生」、出会いに感謝する時に「これぞ人生!」と、いろいろなシーンで使うようです。主人の想い「ここセラヴィはあなたの別荘、どうぞご自宅のようにごゆるりとお過ごし下さい。」という言葉が嬉しいです。)
キジのステンドグラスが印象的な玄関扉。セラヴィに数多くあるステンドグラスはアーティストの作品だそうです。
(玄関扉のキジのステンドグラスは大塚基純という方の作品。)
写真から既に感じるように、セラヴィはアンティーク調の調度品でいっぱい。昭和世代の私たち夫婦にとっては懐かしいというか玄関を入った瞬間からホッとする感じです。ロビーはこんな景色。
(「電話室」。かつてはほんとに電話が置かれていたそうですが、今はLAN環境が整えられたインターネット利用スペースとのこと。)
上の写真に背もたれ部分が見える革張りのソファーに座ってチェックイン。目の前には開放的な窓、外には緑が広がります。
(セラヴィを象徴する像。後程知りましたが、流木作家さんの作品だそうです。)
ルームキーとマスクケース。
(マスクケースにはセラヴィのための絵画がプリントされています。ルームキー、一見普通に見えますが、実はこれ、バードコールになっています。「星のや富士」のルームキーもバードコールだったことを思い出しました。)
今回予約した「Tルーム」は2階の角部屋。部屋の扉には「T」がデザインされたアイアンサイン。
(無垢材の扉も温か味を感じます。建物は古いですが、隅々まで手入れされ、設えにスキがない。(笑))
この「T」サイン、やはり芸術作品でした。
(部屋に置かれた冊子に説明がありました。西田光男という方の作品。この説明書きの下には「こちらのお部屋にしかない、たった1つのものたち」という説明が続いていて、とにかく部屋の家具や小物はほとんど一点もの。)
Tルームの概観です。
(ネットより拝借。扉を開けて踏み込みに立って見える景色。)
写メだとこんな感じです。天井の照明もいいですね。
(このソファーは「カリモク家具」の特注品で、もう何十年も経っているそうです。このソファーには仕掛けがあって、片方のひじ掛けを引っ張り出して、背もたれのクッションを敷けば、ベッドになります。)
寝室、洗面、シャワールーム。
(ベッドスローは「秩父銘仙」という、秩父地方で生まれた独特の「ほぐし模様」の織物だそうです。宿のサイトによると、「平織りで裏表がないのが特徴で、表が色あせても裏を使って仕立て直しができる利点があり、女性の間で手軽なおしゃれ着として明治後期から昭和初期にかけて全国的な人気を誇っていました。数も少なく貴重な古布は、柄も斬新で今でも新鮮に感じられます。」とのこと。ぞんざいに扱えません。(笑))
トランプも一点もの。オシャレすぎます。(笑)
(トランプそのものは半透明なので、実際にゲームに使えるのか??)
水屋はライティングビューローをイメージさせますが、陶器のミニシンク付きですので、水屋用の家具なのですね。
(絵画は秩父在住の画家、勝野平二氏の作品。勝野氏は「セラヴィ」の名付け親でもあるそうです。ベッドルームにも作品がありました。水屋家具の下段のスリット開き戸の中には冷蔵庫があり、中身はフリーです。)
水屋家具の上段のガラスの引き戸棚の中には、左に秩父のお茶たち。
(冷蔵庫のジンジャエールと麦茶ばかり飲んでいて、このお茶は結局飲まず。)
右には「長瀞珈琲焙煎室」の「セラヴィスペシャルブレンド」の豆。
(セラヴィスペシャルブレンドともう一種類、「無農薬栽培で育てた 森のコーヒー」という豆もありました。)
棚の奥に見えるハンドル付きの❝筒❞が豆を挽く器具。ドイツの「COMANDANTE(コマンダンテ)」社のコーヒーグラインダー。これがすごくスムースに豆を挽けて使いやすい。「これ、いいなぁ。」と欲しくなってAmazonで検索すると、超高級品でした。(笑)
(ネットより拝借。色違いの同じ製品。バリスタも使う❝本物❞のようです。豆の挽き方がコーヒーを淹れた時の味を大いに左右するそうです。)
お茶請けの置き菓子は、秩父産メイプルシロップ「秩父カエデ糖」使用の「すのうぼうる」。
(指で作ったオッケーサインの❝丸❞くらいの大きさ。とても美味しいですが、結構口の中の水分を持っていかれますので、飲み物必須です。(笑))
さて、Tルームの室内のレポートは一旦中断して、チェックインの時に❝一番風呂❞を予約した、貸切大露天風呂「洗心」へ。(Tルームのテラス、半露天風呂のレポートはその後で。(笑))
セラヴィの建物を出て、お向かいの別棟が「洗心」です。確かに大露天風呂です!
(ネットより拝借。奥に見える屋根付きの場所は、左が脱衣場、少し奥まって左が休憩処。)
脱衣場のランプも雰囲気満点のアンティーク調です。
(おそらくアーティストの作品だと思います。)
脱衣場から踏み出すとこんな景色です。
(もはや大浴場クラスの広さです。)
脱衣場から(露天風呂とは逆側に)石段があって、そこを上ると東屋風の休憩処があります。
(滑らかな踏み石がうまく配されているので、素足でも痛くありません。)
アイアンの手すりもありますので安全です。そして、この手すりがまたしてもオリジナル(オーダー物)。
(リスが駆け上っています。現在進行中の❝プライベートプロジェクト❞でアイアンのオーダー物が高価なことを思い知らされているので(笑)、このさりげない手すりの価値も何となく分かります。)
休憩処も広々としていて開放的そのもの。
(囲炉裏もあるので、食事処にも使えそうな充実ぶり。蚊帳でも吊るせば、夏場ならここで十分宿泊できそう。(笑))
休憩処には冷蔵庫もあって、中にはジンジャエールと水がぎっしり。
(ジンジャエール、いただきました。もちろんフリーです。)
貸切時間は50分。広大さもさることながら、休憩処の存在もあって、本当にゆっくりと過ごせます。あっという間の50分でした。セラヴィの貸切大露天風呂「洗心」、最高です。
部屋に戻ってきました。Tルームにはテラスと半露天風呂があります。カリモク家具のアンティーク調ソファーのある❝リビング❞からテラスに出ます。
(この林の向こうは長瀞オートキャンプ場ですが、人の声は全く聞こえません。鳥の鳴き声と風で樹々がそよぐ音だけが聞こえます。)
テラスに出て室内を見るとこんな景色です。
(今日のように暑い日になると、この季節、もう虫が飛んでいますので、テラスでのんびりするには蚊取り線香必携です。ちゃんと用意されています。(笑))
こちらが半露天風呂。
(林側には一応の虫よけ、蚊帳がセットされています。そして、オーダー物と思われるアイアンの柵。写真左の手すりも含めて全て西田さんの工房の作品。)
この日は5月5日ということで、菖蒲湯の粋な計らいです。
(菖蒲湯は、リラックス作用や血行促進が期待できるほか、肩こりや腰痛予防にも効果があるそうですが、行事としては、端午の節句に子どもの健やかな成長を祈るという意味合いもあり。)
こちらがセラヴィの長瀞温泉に併用されている、北海道産の「ブラックシリカ」。
(湯舟に沈められているブラックシリカを写メのため一瞬引き上げました。(笑))
ブラックシリカは天然鉱石で、「神の石」と言われるほどの効力があるそうです。マイナスイオンが豊富に放出されるため、入浴すると精神が安定する上、自律神経と呼吸機能を高め、血流を促し、汗や血液をサラサラにし、さらに酸素を全身に行きわたらせることから体の免疫力を高めます。(半露天風呂の棚に置かれていた説明書きより。)
宿に来ると最近ついついチェックしてしまうシャワーヘッドです。(笑)
(3パターンの切替機能あり。違うかもしれませんが、アラミック(Arromic)のシャワーヘッドを思わせる高水圧でした。)
「長瀞温泉+ブラックシリカ+菖蒲湯」という効能盛り盛りの温泉に2度ほど浸かっていると夕食の時刻となりました。食事は1階のレストランとなります。
(テーブルの上に置かれたオイルランプが優しい空間を演出します。)
テーブルに着く前、レストランの入り口で、まずお箸を選びます。「斧折樺(おのおれかんば)の箸」という、秩父の樺の木で作ったお箸が太さ・長さ別に5種類用意されていて、自分で持ってみて一番使いやすいものを選ぶ、という趣向です。
(自分で選ぶという趣向のため「記念にもらえるのかも。」と欲深いことを思ってしまいましたが、セラヴィの小さな売店で販売中。(笑) 斧が折れるほど硬いことがその名の由来です。なお、セラヴィでは環境への配慮として、お箸は使い捨てにはしていません。)
ドレスコードはフリー。「あなたの別荘」ですから、部屋にある作務衣や浴衣(勝野平二氏デザイン)でOKです。テーブルセッティングも特別感は演出しつつも自然体。
(手前のお箸が私が選んだ❝長め・やや太め❞の斧折樺。妻は❝短め・やや細め❞を選びました。)
本日の献立。
(「食べられる物の命を できる限り生かすのが精進」。コースの最後に気さくなシェフが挨拶に回られましたが、「できる限り素材の美味しさをそのまま味わってもらえるよう心がけています。」とおっしゃっていました。)
水のグラスも何だかオシャレ。
(イボイボがあるので持ちやすい。(笑))
■先付:玄米、梅、スープ(小さな湯呑みで出てきましたが写メし忘れました。(笑))
■前菜:(写真上段)割り干し大根、ふき、あずき菜と小豆、鮑とアスパラガス、(写真下段)芹・人参・アーモンド、ぶどう豆豆腐・山椒、サマーオレンジ、紫キャベツ・レンズ豆・ドライトマト
(皿が長かったので分けて写メ。素材の味をしっかり感じる薄味。)
乾杯はスパークリングワインで。
(「 Segura Viudas(セグラ ヴューダス)」(スペイン)というスパークリングワイン。)
■椀物:沢煮(わらび、独活、人参、椎茸、牛蒡、絹さや、木の芽、祝いの粉)
(「祝いの粉」とは胡椒のこと。昔は貴重品だったことから祝いの席などでしか使わなかったことがその異名の由来のようです。)
ここで、料理の美味しさはもちろん感動的ですが、それ以上に気になるのがこの木彫りの半月盆。
(見事なお盆。妻は別の柄でした。これは彫刻家の豊田豊という方の作品とのことで、材質は栃の木。デザートの時に移動したレストランをぐるっと囲む❝室内テラス❞の見事な彫刻も同氏の作品。)
さて、飲み物は、遅まきながら「秩父のワインコース」へシフト。。
(「本日のグラスワイン」から白・赤2種類ずつを順番に出してくれます。)
1種類目は秩父の「兎田ワイナリー」の「秩父ブラン」。
(やや甘口とのことですが、スッキリしています。)
■温物:炙り角煮(じゃが芋、マスタード、ごぼう、法蓮草、若もろこし、人参)
(若もろこしは❝ひげ❞も美味しくいただけます。この炙り角煮、激ウマです。)
■凌ぎ:グリーンピース・カリフラワーご飯、小皿(ふきの葉、黒オリーブ)
(先程とは違う柄の半月盆。見事です。)
■強肴:鱒(パセリバター、芽キャベツ)、新玉葱・ピンクペッパー、ケール、紅芯大根、そら豆
(確か姫鱒と説明されたような記憶が。美味しい~。)
白ワイン2種類目は、「秩父ワイン 源作印」の「甲州シュールリー」。
(やや辛口。先程の「秩父ブラン」よりも更にスッキリタイプ。秩父の白ワイン、いいですねぇ。)
■主菜:黒毛和牛、小鉢(アボカド、ニラ、黒にんにく)、手前小さじ(行者にんにく)、蓮根、トマト、えんどう、甘唐、もやし、フルーツピーマン、奥大さじ(葉物サラダ)
肉料理に合わせて赤ワイン1種類目を出してもらいます。「秩父ワイン 源作印」の「G3 2014」。
(フルボディ。地元の食材に地酒というのは鉄板のマリアージュですが、地元のワインというのも間違いない美味しさです。月並みな感想ですが、幸せなひと時です。)
赤ワイン2種類目はデザートにも合うということで、後程出してもらうことにして、〆の食事へ。
■食事:そば切り
(十割そば。そばの香りと美味しさを堪能するために、「ひと口目は是非塩でどうぞ。」とのこと。)
そば茶が一緒に出されますが、湯呑み(と皿)が素敵です。
そば湯も出てきました。
(そば湯の器が木地に漆でとにかく軽くて手触りが最高。そば湯もそばを味わい尽くすためあえて濃くしているそうです。)
この十割そばが超美味で、スルスルと一枚いただいたところ、宿の方から「料理長はその日にそば粉を引いてお客様の人数分しかそばを打たないのですが、今日は偶然にも一人前余裕があります。よろしければおかわりはどうですか。」という最高のご提案が。即答で「いただきます!」。(笑)
(今まで食べたそばで一番美味しい。もちろん旅先での食事ですので、美味しさちょい増しではあると思いますが。)
この後、料理長が各テーブルを回って来られました。とても気さくな方で、素晴らしい料理と最後のそばの美味しさ、「何だかエネルギーをもらったようです。」など感謝の気持ちを伝えて、少しですがお話できました。ありがとうございました。
あとはデザートです。このままテーブルでいただくもよし、❝室内テラス❞に移動するもよし、ということで、移動しました。
(ソファ、椅子、ローテーブル、どの家具も素晴らしいです。)
ふと隅の方に動く物を感じて見てみると、メリーゴーラウンドの置物が回っていました。
(実際は動いています。ダイソンの真っ白なファンが若干浮き気味なのはご愛敬。(笑))
そしてこの彫刻。
(この彫刻が❝室内テラス❞を囲むように10枚配されているのですが、その10枚で長瀞の四季を表現しているそうです。食事の時の半月盆と同じく豊田豊氏の作品。材質は楠の木。)
■甘味:道明寺、小豆、抹茶ジェラート、長瀞苺 + オプションで注文しておいたセラヴィオリジナルの小さなケーキ
(イチゴよりも一回り大きなチーズケーキ風とチョコレートケーキ風のものがオリジナルケーキで、確か豆腐を使っていると説明があったようななかったような、、、。)
コースはこれで終了ですが、デザートを食べ切れないので、残った分を盛り直していただき、秩父のワインコース最後の赤ワイン2種類目とともに部屋に持って来てもらいました。
(赤ワイン2種類目は、「兎田ワイナリー」の「秩父ルージュ」(ライトボディ)。)
これにてコースは完全終了。ごちそうさまでした。ちなみに、献立には書かれていませんが、セラヴィのコースは、和の食「身土不二(しんどふじ)の膳」と銘打ち、朝晩合わせて65種程の大地の恵みと旬野菜、上質な肉・魚を取り入れたコースとなっています。体が元気になるのも気のせいではないのかもしれません。
部屋に戻ります。夜のテラスに照明が雰囲気を醸し出します。
(ゆっくり温泉に浸かります。日中の鳥の声に替わって、虫の声が静かに聞こえます。)
ベッドルームから見える外は竹林の景色。
(ベッドルームの窓より。)
時刻は10時を大きく回りました。ふと空を見上げると、月が明るく輝いています。
(テラスに立って。この後月は雲に隠れてしまいました。明日は雨かなぁ、、、。)
日中の暑さが嘘のように涼しい夜です。この後温泉を何度か楽しんで就寝。秒で眠りに落ちました。(笑) 明日、雨が降りませんように。
・・・秩父長瀞「小さなホテル セラヴィ」一泊旅行③〔滞在2日目編〕へ続く。
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