私もついに先日78歳を迎えました。まさに今は老いと向き合う最中です。
そこで、老人医療について少し考えてみたいと思います。私も年を重ねるにつれて感じることですが、人間は徐々に体全体が弱ってきます。理想的な最期というのは老衰であると思います。特定の病気があるわけではなく、全身の機能が次第に衰え、自然に人生を終えること。それが本来あるべき姿ではないでしょうか。
人間の体は心臓、大腸、胃腸、消化器、循環器、神経系など、複数の器官・システムが連携して一つの生命体として機能しています。単一の器官だけでは成り立ちません。そして忘れてはならないのが、心(精神面)の存在です。体全体が一つの有機体としてまとまっているのです。
#現代医療の盲点
ところが現在の医療は、全体観を欠いています。心臓に異常があれば心電図を測り、血圧が高ければ降圧剤を処方する。このように根本を突き詰めるのではなく、症状に対応するだけの対症療法に終始しがちです。生活習慣や栄養も含めた人間全体を広く捉える視点が必要なのに、現代医療ではしばしば一つの側面だけを個別に見て対処するというアプローチになっています。
これでは人間の体の本質を理解することはできません。現代医療の欠点はまさにそこにあるのです。人間の身体は全体が有機的につながっており、神経系を含めたさまざまな要素が複雑に絡み合っています。
# 身体は統合されたシステム
年を取ると肩が痛くなったり、膝が悪くなったりと様々な症状が現れます。しかし、よく考えてみると、痛みのある部位だけが問題なのではありません。内臓に問題があれば肩に痛みとして現れることもあります。右脳に問題があれば左側の身体に症状が出るというように、人間の体は全体が連動しているのです。
このような全体のつながりの中で人間を捉えなければ、真の健康を維持することはできません。今の医療は何か問題があれば消化器科に行って胃カメラで検査をするといったように専門分化しています。しかし、胃カメラで異常が見つかるような状態になった根本原因を正さなければ意味がないのです。
# 全人的医療へのシフト
このように全体を見るという視点が、今の医療には非常に欠けています。日本の医療は確かに命を救う技術では最先端かもしれませんが、人間を全体として捉える視点をより重視してほしいと思います。
私自身も年齢を重ねるにつれて、体のさまざまな部分に不調を感じるようになりました。そして、すべてがつながっているという事実を、身をもって実感しています。
高齢者医療が今後向かうべき方向は、専門分化した対症療法から、人間を全体として捉える全人的アプローチへのシフトではないでしょうか。すべて体はつながっているのですから。
✳︎ 「ホリスティック」とは、ギリシャ語の「holos(全体)」を語源とする言葉で、日本語では「全体論的な」「包括的な」といった意味で使われます。
より具体的には、以下のような意味合いを含んでいます。
* 全体性: 物事を部分に分解して考えるのではなく、全体として捉える考え方です。
* 関連性: 個々の要素は互いに関連し合い、影響を与え合っているという考え方です。
* 包括性: 身体、精神、環境など、あらゆる側面を考慮する考え方です。
医療の分野においては、ホリスティック医療という言葉があり、従来の西洋医学のように、病気や症状だけを部分的に見るのではなく、患者さんを心身全体として捉え、その人の生活習慣や環境なども含めて治療を行う医療を指します。
ホリスティック医療は、以下のような考え方に基づいています。
* 病気は、身体、精神、環境など、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こる
* 治療は、病気や症状だけでなく、患者さん全体の健康を回復することを目指す
* 患者さん自身の自然治癒力を最大限に引き出すことを重視する
ホリスティック医療では、西洋医学的な治療に加えて、鍼灸、漢方、アロマセラピー、マッサージ、心理療法など、さまざまな代替療法が用いられることがあります。
ホリスティックという言葉は、医療以外にも、教育、ビジネス、ライフスタイルなど、さまざまな分野で使われています。