近年、日本の平均寿命は世界的に見ても高い水準にあるとよく言われてきた。しかし、それだけを強調するのは問題だと私は以前から考えていた。なぜなら、単に長生きすることが重要なのではなく、どれだけ健康で自立して過ごせるか、つまり健康寿命が本当の意味での指標になるべきだからだ。
実際、日本人の平均寿命と健康寿命の間には、およそ6年から10年の差があると言われている。この期間、多くの人が介護を必要としたり、病気がちで苦しい生活を送っている。こうした現実を考えると、ただ単に寿命を延ばすのではなく、健康寿命をいかに伸ばすかが最も大切な課題であることがわかる。
健康寿命を延ばすことができれば、本人がより充実した人生を送れるだけでなく、介護の負担も減り、医療費の削減にもつながる。これにより、社会全体の負担が軽減され、より持続可能な未来へとつながるのだ。
そして、健康寿命の長さだけでなく、人生の質そのものを高めることも重要である。たとえ短い期間であったとしても、ただ生きているだけでなく、できる限り人の役に立つことをする。周囲の人を助けたり、社会に貢献したりすることで、人生に充実感を持つことができる。
健康で長く生きること、そしてその時間を有意義に過ごすこと。この二つが揃ってこそ、本当に価値のある人生と言えるのではないだろうか。
先日、眼科を受診した際、いつの間にか初診料に「DX促進通信費加算」が加えられていました。これは、マイナンバーカードと保険証を紐付けることを目的とし、医療の電子化を推進するための費用を国民が負担する制度のようです。調べてみると、この制度は昨年の11月か12月頃から実施されているとのことでした。
しかし、病院ではこの加算についての説明は一切なく、知らないうちに負担させられていることに驚きました。国民すべてに関わる重要な制度変更にもかかわらず、十分な周知がなされていないのは問題ではないでしょうか。こうした形で負担を増やすことが、果たして公平と言えるのか疑問に感じます。特に、経済的に厳しい人々にとってはさらなる負担となり、生活を圧迫する要因になりかねません。
● 医療DX加算の法律的な根拠
この「医療DX加算」は、健康保険法に基づく診療報酬制度の一環として導入されました。具体的な内容は、厚生労働省が定める「診療報酬点数表」に規定されており、令和6年度の診療報酬改定で新たに設けられたものです。
▶ 詳細資料:「令和6年度診療報酬改定の概要【医療DXの推進】」
厚生労働省の公式資料
● この制度が議論された審議会
医療DX加算を含む診療報酬改定は、厚生労働省の「中央社会保険医療協議会(中医協)」で議論されました。中医協は、医療関係者、保険者、公益代表者が参加し、診療報酬について専門的な議論を行う機関です。しかし、こうした会議で決定されたことが、十分に国民へ周知されないまま実施されているのは問題ではないでしょうか。
● 医療DX推進体制整備加算とは
この加算制度の目的は、医療機関がDXを推進するための体制を整えることです。具体的には、以下のような取り組みが評価されます。
・ マイナンバーカードを用いたオンライン資格確認の導入
・ 電子処方箋の発行
・ 電子カルテ情報の共有サービスの活用
確かに、医療のデジタル化は利便性の向上につながるかもしれません。しかし、なぜその費用を患者が負担しなければならないのでしょうか?
● 増税と変わらない負担増
今回の医療DX加算は、事実上の増税と言えるのではないでしょうか。政府は「1,030,000円の壁の緩和」や「高校授業料の無償化」などの政策を進めていますが、結局のところ、別の形で国民に負担を求めているだけのように感じます。医療のデジタル化を進めること自体には意義がありますが、その費用を患者に負担させることが本当に公平なやり方なのか、改めて考えるべきではないでしょうか。