読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

7月刊行予定新書新刊、個人的注目本8冊

2014-07-04 22:09:32 | 本のお噂
7月になりました。2014年もあっという間に前半が過ぎ、早くも後半に入ったわけですね。
40が過ぎてからの月日の経ちかたというのは、本当に光陰矢の如し、なのでありまして、うかうかしてるとただただ、馬齢を重ねるのみとなってしまうのであります。あゝ。
•••と、オノレの感慨などはどうでもいいわけでありまして、今月7月に刊行予定の新書新刊から、わたくしが気になる書目を8冊ピックアップしてご紹介したいと思います。皆さまにも、何か引っかかる一冊があれば幸いに存じます。
刊行データや内容紹介については、書店向けに取次会社が発行している情報誌『日販速報』の6月23日号、6月30日号、7月7日号とその付録である7月刊行の新書新刊ラインナップ一覧に準拠いたしました。発売日は首都圏基準ですので、地方では1~2日程度のタイムラグがあります。また、書名や発売予定は変更になることもあります。


『魔女の世界史 女神信仰からアニメまで』 (海野弘著、朝日新書、11日発売)
「古代信仰からゴスロリ、シャネルから魔法少女アニメまでを一気通貫する新たな『魔女』の発見。蠱惑し、闘い、変容する女性史」という本書。『スパイの世界史』などの著書で、その博覧強記ぶりに定評がある海野弘さんが、「魔女」をキーワードにしていかなる女性史を綴っているのか、実に興味津々であります。7月刊行分では一番気になる一冊です。

『生物に学ぶイノベーション 進化38億年の超技術』 (赤池学著、NHK出版新書、11日発売)
「厳しい生存競争を勝ち抜いてきた生物たちの超技術を、研究・開発に活かす動きが近年盛り上がっている。生物進化の不思議を読み解きながら、『新発想のヒント』を記す」とのこと。生物進化史ものには興味があるのですが、それを研究・開発といった分野とからめて綴るというのも面白そうな感じがいたしますね。これも楽しみです。

『昭和陸軍全史 (1) 満州事変』 (川田稔著、講談社現代新書、17日発売)
「日本を破滅へと導くことになった独断専行は、いかなる思想の元に進められたのか?昭和陸軍という特異な組織の実像を徹底的に描く」と。これが(1)とのことなので、何巻かに跨がる大著になる予感がいたします。本巻自体も、予価が1080円ということで、けっこう分厚いものなのではないかと。これは注目しておくことにいたしましょう。

『素潜り世界一 人体の限界に挑む』 (篠宮龍三著、光文社新書、17日発売)
「機材を使わずに海に潜行、目的の深度で水面に戻ってくる競技、フリーダイビングの日本代表でアジア記録保持者の驚きの話」。酸素も補給することなく、水圧とも闘いながらいかにして深くまで潜ることができるのか、その第一人者の話には面白いものがありそうですね。

『名画で読み解く ロマノフ王朝 12の物語』 (中野京子著、光文社新書、17日発売)
光文社新書からもう一冊を。「エルミタージュ美術館の原型を作ったエカテリーナ2世。ロシア革命で崩壊するまでの王朝の栄枯盛衰を絵画とともに振り返る」と。著者が『怖い絵』シリーズで、歴史を通して絵画を楽しむことを教えてくれた中野京子さんだけに、この本にも期待してしまうのであります。

『凶悪犯罪者こそ更正します』 (岡本茂樹著、新潮新書、17日発売)
「大きな話題を呼んだ『反省させると犯罪者になります』著者の第二弾。凶悪犯罪者たちを次々と更正に導いた革命的更正メソッドを詳述」。前著もでしたが、今回のもなんだか常識破りの更正論が期待できそうな。

『虚構のバイオ』 (榎木英介著、文春新書、18日発売)
「STAP細胞事件は氷山の一角に過ぎない。バイオ研究の現場でいま何が起きているのか。元研究者で病理医の著者が背景を解き明かす」と。一番注目を浴びている分野でありながら、いろいろな問題も噴出してきているバイオ研究。その陰の部分にどこまで迫れているのか、注目してみたいと思います。

『北斎漫画』 (清水勲著、平凡社新書、15日発売)
「『北斎漫画』初編の刊行より200年を記念して全15編の見所を漫画史研究の第一人者がわかりやすく解説する。図版150点掲載」。『北斎漫画』といえば、どうも緒形拳さんや樋口可南子さん主演の映画がアタマに浮かぶのですが(笑)、もとは西洋絵画や現代の漫画表現にも影響を与えたというユニークな作品とのことなので、本書でより深く知りたいという気がいたします。


7月刊行予定の新書で、その他に気になる書目は以下の通りです。

『今日も元気だ映画を見よう 粒よりシネマ365本』 (芝山幹郎著、角川SSC新書、10日発売)
『「子育て」という政治 少子化なのになぜ待機児童が生まれるのか?』 (猪熊弘子著、角川SSC新書、10日発売)
『日本の軍歌』 (辻田真佐憲著、幻冬舎新書、30日発売)
『病気になるサプリ』 (左巻健男著、幻冬舎新書、30日発売)
『世界の鉄道紀行』 (小牟田哲彦著、講談社現代新書、17日発売)
『仕事は「怒られない」ためにするもの(仮)』 (中川淳一郎著、星海社新書、24日発売)
『ドキュメント 謎の海底サメ王国』 (NHKスペシャル深海プロジェクト取材班+坂元志歩著、光文社新書、17日発売)
『空き家問題 1000万戸の衝撃』 (牧野知弘著、祥伝社新書、2日発売)
『「反日」中国の文明史』 (平野聡著、ちくま新書、7日発売)
『スターリン 「非道の独裁者」の実像』 (横手慎二著、中公新書、25日発売)
『サッカーと人種差別』 (陣野俊史著、文春新書、18日発売)