読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

『THE MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。 【その9】第96回〜第110回

2022-06-23 23:10:00 | ドキュメンタリーのお噂
さまざまな製品が製造されていく過程を、余分な要素を排したシンプルな構成で辿っていく科学技術教育番組シリーズ『THE MAKING』。300回を越えるそのレギュラー回(+スペシャル版)のうち、現在見ることができるすべての回を観た上で、ごくごく簡単な見どころ紹介と感想を綴っていくという続きもの記事、今回は9回目をお届けいたします。


シリーズの詳しいご説明などは【その1】に譲ることにして、今回は第96回から第110回までを紹介していくことにいたします。サブタイトルに続いて「サイエンスチャンネル」の公式YouTubeチャンネルにアップされている該当回の画面を貼っております。ご覧になる際の参考にでもなれば幸いであります。
諸事情により、現在配信されていない回については、サブタイトルに続き「欠番」と記しておきます。また、現在配信されている回についても、配信元の都合により動画の公開がなされなくなる場合もあるかと思われますので、その節はどうぞご容赦くださいませ。


(96)パン粉ができるまで

パン粉のもとになるパンを焼く方法には2種類あり、ひとつはオーブンで焼く「焙焼(ばいしょう)式」、そしてもうひとつは電気を通して水の分子を振動させることで生じる摩擦熱を利用する「通電式」があるのだとか。チタン製の電極板をつけた焼き箱を使う「通電式」によって焼き上がったパンは、焦げ目のない真っ白な仕上がりに。
焼き上がったあとすぐに真空冷却機で冷却。真空にすると沸点が低くなって水分が早く蒸発し、その気化熱でパンが冷える・・・といったことなど、いろいろと教えられることの多い回でありました。

(97)魔法瓶ができるまで

電気ポット・・・ではなく魔法瓶の製造工程。魔法瓶の内部構造は内瓶と外瓶の二重構造になっていて、その間が真空となっていることで熱を逃さない仕組みになっている上、瓶の内側になされた銀メッキにより、外へ向かう熱が反射して戻る(輻射熱)仕組みになっているとか。中身の温度を保つ「魔法」のような働きは、科学を活かした知恵と技術の賜物、ということがよくわかりました。

(98)パスタができるまで

金型からむにゅっと押し出された生地がマカロニに成形されたり(使用される金型によってさまざまな形のパスタができる)、細長く伸びた棒状となって上から降りてくるスパゲティ生地がカットされ、左から右に向かって流れるように落ちていったり・・・と、けっこう面白い絵面の多い回でございました。

(99)割りばしができるまで

材料となる木材を裁断したり削ったりと、機械が行う作業が多いものの、ところどころで見られる熟練した職人さんたちの活躍にも注目です。
回転するカッターで薄くカットされていく木をきれいに丸めていく職人さんたちも見事なのですが、さらにすごかったのは山のように積み上げられた割りばしを、手分けしながら一本一本チェックしていく工員さんたち(あの山ひとつに何本の割りばしが積み重なってるのか?)。面取り加工の方法によって、主に3つの種類があるということもわかって、勉強になりました。

(100)レコードができるまで

CDや音楽配信が主力となった現在でも、なお根強い人気のあるアナログレコードの製造工程。冒頭で、レコードは人の耳には聞こえない「高い音」が出ることで、CDよりも「音にうるおいがある」などの効果が生まれることが説明されていて、なるほどなあと思いました。製造工程では、しっかりとした手間をかけて作られる、レコードのプレスに使う原盤の製作過程が見どころであります。

(101)マッチができるまで

マッチの製造工程もですが、冒頭でマッチに火がついて燃えていく仕組み、特にマッチの頭薬とマッチ箱の側薬それぞれに配合された薬品類が果たすはたらきが詳しく、わかりやすく解説されていて、とても勉強になりました。点火したあと軸木に燃え移りやすくなるように、パラフィン油を染み込ませるという工夫がされていることも初めて知りました。何の気なしに使っているちっぽけなマッチも、使いやすくするための細かな工夫の賜物なんですねえ。

(102)リコーダーができるまで

材料となる木材を乾燥させるのに、かなり長い時間をかけていることに驚かされました。数年かけて自然乾燥させた原料木を、切り分けたあとさらに2年以上かけて乾燥させるとは。大きさと角度が違う指穴を、それぞれに異なった刃を持つドリルで開けていったり、穴を少しずつ削りながら音を調節したりと、随所に光る熟練の職人技も見応えがありました。息の漏れを電球の光でチェックするのも面白かったな。

(103)かつお節ができるまで

身が崩れないように煮て骨を抜いたカツオを、薪を燃やした熱と煙での「焙乾」と自然乾燥を繰り返すこと4〜6ヶ月。さらに3週間かけてカビつけを重ね、時間をかけて作られるかつお節は、まさしく日本が誇るべき食文化の結晶であることが実感できました。最初の焙乾で生じた破損を、すり身で補修する工程もあるのが驚きでした。

(104)ワイングラスができるまで

パイプ状の吹き竿を坩堝の中に入れ、溶けたガラスをカンと経験に基づいた一定の決まった量で巻きつけ、少しずつ形を整えながら、吹き竿から吹きこむ息で膨らませることで形となっていく・・・。そんなガラス職人の技で生み出されるワイングラスは、まさしく立派な工芸品といってもいいくらいだと思いました。こういうのでワインを飲んだら、さぞかし美味しいだろうなあ。

(105)そろばんができるまで

原料木の木目を見極めながらくり抜いた珠の一個一個や、それを通す軸の一本一本を、細かな手作業できれいに仕上げていく職人技に圧倒されました。とりわけ、珠の高さを揃えるための「口取り」から、ロクロ式の削り器でなされる仕上げ削りまでの過程には見入ってしまいました。
日常において使われなくなったそろばんですが(わたしも高校時代には必需品だったのですが、それ以来もう30年以上触れていません・・・)、こういう技術が失われていくとすればあまりに惜しい、と思うことしきりでありました。

(106)かい中電灯ができるまで

これからの時期は特に、いざという時のために備えておきたい、懐中電灯の製造工程。ポリプロピレンに顔料を混ぜて作られるボディの成形こそ自動化されているものの、基板の組み立てなどでけっこう、作業員さんたちによる細かい手作業が多いところが意外でありました。電球が点滅する仕組みの解説にも「へぇ〜」でありました。

(107)紙コップができるまで

水分が滲まないよう、ラミネート加工によって紙に貼られるポリエチレンの膜の薄さは20ミクロン。この加工がしやすいように、紙の表面に4万ボルトという高電圧をかける加工の名前が「コロナ放電」(笑)。底紙を打ち抜き、それに本体部分を巻きつけて接着、固定させたりする過程を、目にも止まらぬ速さでこなしていく「紙コップ成型機」もスゴいなあ。

(108)とび箱ができるまで

運動が苦手なわたしが子どものときは意外に得意だった(余計な情報ですね。苦笑)、とび箱の製造工程です。横板のほうは、定規で刃の角度を合わせつつ慎重に切っているのに対し、2段目以降の妻板(正面の部分の板)は、縦に並べて一気にカットしているのが面白かったですねえ。

(109)粒ガムができるまで(欠番)

(110)毛布ができるまで

原料となるポリエステルの糸を芯にしながら、それに綿やアクリルの糸を組み合わせて編み込んでいく自動編み機の動きの美しいこと。仕上げ段階で、表面の毛をローラーで毛羽立たせたり寝かせたり・・・を何度も繰り返すことで、毛布の柔らかな手触りが生まれるんだなあ。糸をきれいに揃えて巻き取る工程を「整経」ということも、これで覚えました。


これまでご紹介した回については、以下のページにリンク集と内容のもくじをまとめておきました。新しくアップした内容を追加しながら更新していきますので、気になる回をお探しになるときにお役立ていただければ幸いであります。

「『THE MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。」 全記事リンク集&内容もくじ


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