読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

『THE MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。 【その1】第1回〜第10回

2021-12-01 22:46:00 | ドキュメンタリーのお噂
毎日毎日飽きもせずにコロナ煽りネタを繰り返すわ、そのくせ肝心の番組の内容はスカスカだわと、いまのテレビにはもはや、見るべきものなどほとんどなくなってしまいました。ま、そもそもテレビなんぞ見なくともそれほど困るわけではございませんし、テレビから離れたぶん、読書や映画、レジャーや外呑みといった、もっと楽しくて有意義なことに使う時間が増えたりもして、むしろ良かったと思うばかりでございます。
もうひとつ、この2年近くのあいだに増えたのは、ネットで配信される動画を見る時間です。いまのテレビには望むべくもない、面白くて知的好奇心も満足させられるような良質なコンテンツも数多くあって、これならますますテレビなんて要らないやわはははは、と思う今日この頃なわけであります。

ネットで見られる動画コンテンツの中で、目下わたしがやたらハマっているのが『THE MAKING』というシリーズです。
食品から日用品、工業製品、さらには伝統工芸品などのさまざまなモノが、原料から製品のカタチとなっていくまでの過程を辿っていくという、15分弱の科学技術教育・啓蒙番組のシリーズで、1998年から2010年にかけて全318回(および、44分のスペシャル版が7回)が製作、放映されました。製作したのは文部科学省所管の法人である科学技術振興機構(JST、旧称は科学技術振興事業団)、企画と実制作にあたったのは日本テレビグループの制作会社である日テレアックスオン(AX–ON、旧称はNTV映像センター)。


以前はときどき、ケーブルテレビの無料チャンネルで放送されていたことがあって、そのときにも面白く観ておりました。最近になって、JSTが運営する「サイエンスチャンネル」の公式サイトや、同チャンネルの公式YouTubeチャンネルでシリーズが配信されていることを知り、そのうちのいくつかを久しぶりに視聴してみたら、たちまちどハマりしてしまいました。
さまざまなモノができるまでの過程をナレーションを省き、BGMと現場での音声、状況説明のテロップだけで淡々と追っていくというシンプルなつくりなのですが、そのシンプルさゆえにかえって面白く、惹き込まれるものがあるのです。このシリーズを観ていると、余計な要素や演出ばかりを詰めこんだいまのテレビ番組がいかにダメなのかを、あらためて思い知らされる気がいたします。それぞれの生産現場ならではの技術や工夫、そして働く人たちの熟練の技を見ることができるのも、このシリーズの大きな魅力でしょう。
気になる回をつまみ食いのように観ていると、この際だから全部の回を観てみっか、という考えがムクムクと頭をもたげてまいりました。そんなわけで、目下シリーズを初めのほうから少しずつ視聴しております。この記事を書いている12月1日現在、200回近くまで進んでおります。
それらの紹介や感想は、Twitterにて少しずつ投稿しているところですが、せっかくなので当ブログにも、視聴した全回の紹介と感想を記録としてアップしていこうと考えました。今回はその第一弾として、第1回から第10回までを取り上げることにいたします。

『THE MAKING』全回のご紹介にあたって、いくつかのおことわりを。
製作された全318回(およびスペシャル版7回)のうち、諸事情により現在は配信されていない回が30回近く存在していて、それらについては残念ながら視聴は諦めざるを得ませんでした。そこでそれらの回についてはサブタイトルを明記した上で「欠番」とだけ記すことにいたします。それ以外の視聴可能な回すべてには、サブタイトル部分にYouTubeのリンクを貼っておくことにします。なお、配信停止やリンク切れの節はご容赦くださいませ。
それぞれの回の紹介と感想の文面は、Twitterに投稿した内容とほぼ同じですが、一部手直しや増補を加えております。気になる回をご覧になる際の参考にでもなれば幸いであります。
(2022年6月11日追記。該当回へのリンクを、画面埋め込みの形で新たに貼り直しました)


(1)1万円札ができるまで (欠番)

(2)マヨネーズができるまで

見どころはやはり、1分間に600個の卵を割ることができるという「割卵機」。殻に切り込みを入れてから割り、黄身と白身をきれいに分けていく・・・という工程を、目にも止まらぬ早いスピードでこなしていて実に圧巻です。こういう機械を開発した人には、つくづく尊敬の念あるのみであります。

(3)一眼レフカメラのできるまで

まだデジカメに駆逐されてしまう前のフィルムカメラの製造過程。前半の「Nikon」ロゴの色つけをするロボットと、後半のハンダつけにおける作業員の手作業、いずれもまことに緻密で目を見張らされるものがございました。

(4)清涼飲料のできるまで 〜ミルクティー〜

ロングセラー商品である、キリン「午後の紅茶」ミルクティーの製造工程。紅茶の抽出は、でっかいポットの中のお湯に茶葉をぶっこんで、抽出したら紅茶から葉っぱを掬い取るという、けっこうゴーカイな方法でやってたんですねえ。

(5)ホッチキスのできるまで (欠番)

(6)鉛筆のできるまで (欠番)

(7)段ボール箱のできるまで

リサイクルされた古紙が段ボール箱に生まれ変わるまでの過程を追ったもの。ドロドロに溶かされた古紙が、うねうねと波打ちながら移動していく前半の映像が、なかなか迫力があってスゴかったなあ。

(8)板ガラス・鏡ができるまで

大きな板ガラスが、溶融された金属のプールに溶けたガラスを流しこみ、浮かばせるという「フロート法」なる方法で作られていることを初めて知りました。できあがった板ガラスを一枚一枚重ねていく機械も、なかなかの見ものでした。

(9)アルミなべのできるまで

アルミ板のプレスから成型、仕上げまでをほぼ自動で行うアルミなべの製造工程。アルミを錆びにくくするためのアルマイト加工の説明も、けっこう科学的で勉強になりました。製造ラインを流れるとき、カラカラと哀愁漂う(?)音を立てるところがちょっと笑えました。

(10)雑誌ができるまで

仕事柄、毎日当たり前のように接している雑誌が、かつてはこんなにも手間をかけて作られていたんだなあ、と感慨深いものがございました。写植による印字も、この取材当時にはまだ残っていたんだねえ・・・(しみじみ)。


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